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病棟医必携!精神科医に頼れない状況でのせん妄の対処法・予防法の実際が学べる最適の1冊!

新刊

病棟で役立つ

せん妄の予防と対応

  • 著:川上忠孝(新小山市民病院神経内科部長・副院長)
  • A5判・136頁
  • ISBN 978-4-8306-3627-1
  • 2019年2月発行
定価 2,700 円 (本体 2,500円 + 税)
あり
在庫

内容

序文

主要目次

せん妄は総合病院の入院患者の2~3割に認められ,高齢者では4割に発症するといわれている.せん妄によって,基礎疾患の治療に支障を生じることが問題となっている.せん妄症例は内科医のほうが精神科医よりも多く経験しているとも言われており,精神科医のいない病院では病棟医がせん妄のプロフェッショナルになるしかない.本書では読者対象を精神科医のいない病院の病棟医,内科医として,せん妄の定義・対処法・予防法について,ケーススタディを交えて具体的に解説.著者の施設で実践している,認知症・せん妄サポートチーム(DST)の取り組みについても触れ,読み物としても楽しめる実践的な内容となっている.

序 文

 日本は,先進諸国のなかでも高齢化が顕著となっており,地方・都市部の何れでも,いわゆる療養病床群に限らず,一般急性期病院においても入院患者の高齢化は避けられない状況となっています.ご存じのように,高齢になれば認知症を合併する割合が確実に上昇していきますので,認知症を合併することに起因する入院後せん妄の割合も確実に増加していきます.ここで問題なのは,明らかな認知症をそれまで認めてなくても,入院などに伴う環境・体調の変化をきっかけに,入院後せん妄が出現してしまう患者も少なからずいることです.
 このような状況のなか,急性疾患や慢性疾患の急性増悪などで急性期病棟への入院が必要となった患者の中には,入院後せん妄等が出現してしまったために必要かつ十分な医療を受けられず,退院・転院せざるをえないケースもしばしば認められます.せん妄のリスクのある患者では,どのような点に注意すればせん妄を予防することができるのか,せん妄が出現してもどのようにすれば身体抑制を回避することができるのか,せん妄患者への接し方はどのようにすればよいのか,等について一緒に考えていけるように構成しました.
 『せん妄なんて,精神科医がいなければ対応できないでしょう』とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが,筆者自身も精神科ではなく,神経内科としての立場でせん妄患者に対応しております.筆者の病院では入院患者のせん妄などに対する対応の一つとして,認知症・せん妄サポートチーム(DST)を組織し,多職種による回診を実施しておりますが,この本ではDST の活動も紹介し,多職種・医介連携についても触れ,入院後せん妄をきたした症例もいくつかケーススタディとして提示しましたので,せん妄についてじっくりと考えていただければと思います.
 一般内科をはじめ外科系などの先生方にも,せん妄に対する理解を深めていただき,日常診療に少しでも役立てばと思い,この本を執筆致しました.せん妄の基本を知ればきっと日常診療・介護などに役立つと思いますので,皆様の今後の診療の一助となれば幸いです.
  
2019年1月
帰省先の島根・大田にて
川上 忠孝

1章 せん妄とはどのようなものか?
1 せん妄の定義
2 せん妄の症状:幻覚・妄想との関係
  1 意識清明度
  2 意識変容
3 せん妄を引き起こす要因
  1 直接因子
  2 背景因子
  3 誘発因子
  4 せん妄・幻覚・錯覚・妄想の違い
4 せん妄の病型
5 症状や原因によるせん妄の分類
  1 夜間せん妄
  2 術後せん妄
  3 薬剤性せん妄
  4 アルコール離脱症候群alcohol withdrawal syndrome
  5 せん妄と『お迎え現象』
6 せん妄と認知症の関係
  1 認知症の病型とせん妄の発症率
  2 入院患者のせん妄発症率
2章 ケーススタディ:せん妄症例の実際
 CASE 1 80代,男性:既往に認知症のない患者
 CASE 2 70代,女性:既往に認知症のある患者
 CASE 3 80代,女性:外科手術後の患者
 CASE 4 内科系疾患の患者①
      80代,女性:心原性脳塞栓,rt-PA施行後
 CASE 5 内科系疾患の患者②
      80代,女性:心不全
 CASE 6 内科系疾患の患者③
      80代,男性:心不全で入院し偽痛風を合併した症例
 CASE 7 内科系疾患の患者④
      80代,女性:下肢蜂窩織炎
 CASE 8 整形外科疾患の患者①
      80代,女性:右大腿骨頸部骨折
 CASE 9 整形外科疾患の患者②
      70代,男性:右大腿骨頸部骨折
 CASE 10 ICU/HCU入室中の患者①
      80代,男性:鼠径ヘルニア嵌頓
 CASE 11 ICU/HCU入室中の患者②
      70代,男性:心筋梗塞,心臓カテーテル治療後
3章 入院患者のせん妄に対する取り組み-DSTによる回診
1 認知症ケア加算
  1 わが国における認知症患者の現状
  2 認知症ケア加算の要件
2 認知症ケアにおける多職種連携
  1 当院の認知症・せん妄サポートチーム(DST)の取り組み
4章 せん妄への対応-精神科不在の医療機関でできること
1 せん妄予防に必要なこと
2 薬物療法~抗精神病薬・睡眠薬等の使い方~
  1 コリンエステラーゼ阻害薬
  2 NMDA受容体阻害薬
  3 睡眠薬
3 非薬物療法
  1 患者との関わり方
  2 せん妄とユマニチュード
  3 せん妄患者への対応
4 身体抑制を行わない対応について~急性期病院の目指すもの~
  1 身体抑制とは
  2 身体抑制の要件
  3 身体抑制をやむをえず施行する場合
5 せん妄のある患者が施設入所となる場合
  ~医介連携への取り組み~
巻末附録
 ①せん妄の予防と対策 患者様・ご家族用パンフレット
 ②せん妄のケア
 ③認知症高齢者の日常生活自立度判定基準からの
  認知症ケア加算対象者フローチャート
索 引
 『お迎え現象』と『お知らせ体験』
 DSTとポリファーマシー
 せん妄と『夕暮れ症候群』
 あとがきにかえて
COLUMN