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腹腔鏡下での大腸癌手術を,安全かつ迅速に行うためのコツとポイントを満載した,真に実践的な手術書

Knack & Pitfalls  

腹腔鏡下大腸癌手術の要点と盲点

カバー写真
  • 編集:杉原健一(光仁会第一病院院長)
  •     坂井義治(京都大学教授)
  • B5判・200頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2342-4
  • 2016年10月発行
定価 9,720 円 (本体 9,000円 + 税)
あり
在庫
電子版販売サイト

※電子版の購入方法は,各販売サイトにてご確認ください.

内容

序文

主要目次

現在,大腸癌の手術は開腹手術から腹腔鏡下手術に主流が移りつつある.一方で,腹腔鏡下手術の危険性をよく理解せずに安易に手術を行う術者が増えたため,様々なトラブルも起こっている.本書は,腹腔鏡手術推進派と慎重派の二人を編集者に迎え,双方の立場から,腹腔鏡下手術のコツと落とし穴を解説した.より安全かつ迅速に手術を行うための実践的知識が詰まった本書は,大腸癌手術を腹腔鏡下で初めてやる若手にも,開腹手術から腹腔鏡下手術に切り替える中堅にも必須のテキストとなっている.

序文

 このたび大腸疾患に関する「要点と盲点」のシリーズの一つとして「腹腔鏡下大腸癌手術の要点と盲点」を刊行する運びとなりました.
 ご存知のように大腸癌に対する腹腔鏡手術は,機器の改良や手術手技の向上により安全にD3郭清ができるようになったことから,急速な勢いで日本中に浸透してきています.この状況に対応して,大腸癌に対する腹腔鏡手術に関する成書・教科書が幾つか出版されています.しかしそれらは各部位における大腸癌に対する腹腔鏡手術の手順書であり,体位やポートの配置から剝離手順,血管の切離法,腸管の切離法,など手術終了までのすべての手技が網羅的に記載されています.したがって,術式の全体像をつかむことができ,腹腔鏡手術を習い始めの外科医にとっては有益ですが,最初から最後まで読み通すことが必要です.一方,実際に手術を行う際に重要なそれぞれの手技・操作の工夫や注意点は簡単にしか記載されていません.
 本書は,「大腸・肛門外科の要点と盲点」,「大腸癌化学療法の要点と盲点」との姉妹書であり,「要点と盲点」シリーズの特徴を踏襲するように企画されています.つまり,大腸癌に対する腹腔鏡手術を網羅的に解説・記載するのではなく,日常の診療として大腸癌に対して腹腔鏡手術を行う際に経験する疑問点や問題点を拾い上げ,経験豊富な外科医がその対処法を紹介する形式にしてあります.従って,どのようにして攻めてゆくかを迷う病変を取り上げ,複数の経験豊富な外科医にその外科医が実際に行っているアプローチ法を記載してもらいました.それにより,同じ手技・操作場面をそれぞれの先生の工夫や違いを知ることになり,その手技・操作を行ってゆく際の大きなヒントになると思います.また,それらの手技・操作を行う上での「コツと工夫」,「ピットフォール・偶発症への対応」をさらに別の外科医に記載してもらっていますので,結果として読者は経験豊富な多くの外科医のコツや工夫を参照することができます.
 大腸癌に対する腹腔鏡手術の基本的な剝離・操作の標準的な方法を記載した成書はありますが,本書が対象としているような病変に対する腹腔鏡手術の成書は本書が初めてであると思います.また,なるべく文字数を少なくし,箇条書き・簡潔な記載とすることにより,頭の中に入りやすい形式としました.
 本書が先生方の腹腔鏡手術の質をより高め,腹腔鏡手術の治療成績の向上に貢献できることを願っています.

2016年10月
杉原健一
坂井義治

I 上行結腸癌に対するD3郭清
  ─肝彎曲近傍の上行結腸癌,c bulky N1を想定─
1.手術操作手順
 medial approach
 retromesenteric medial approach
2.腸管・腸間膜の剝離・授動におけるコツ・工夫
 ① 十二指腸と結腸間膜背側の間の剝離層を見つけるコツ
 ② 上腸間膜静脈剝離同定とsurgical trunkへの流入枝を見つけるコツ
 ③ 肥満例での血管同定のコツ
3.腸管・腸間膜の剝離・授動におけるピットフォール・偶発症の対応
 ① surgical trunk剝離中の出血への対応
 ② 十二指腸への浸潤が判明した時の対応
II 横行結腸癌に対するD3郭清
  ─横行結腸中央部の進行癌,cN2を想定─
1.手術操作手順
 medial approach
 superior approach
2.腸管・腸間膜の剝離・授動におけるコツ・工夫
 ① 上腸間膜静脈を見つけるコツ
 ② 網囊腔に進入するコツ
 ③ 領域血管同定のコツ
3.腸管・腸間膜の剝離・授動におけるピットフォール・偶発症の対応
 ① 肥満例での血管同定のコツ
III 脾彎曲近傍進行癌に対するD3郭清
   ─SMAとIMAの両方向から栄養されている進行癌を想定─
1.手術操作手順
2.腸管・腸間膜の剝離・授動におけるコツ・工夫
 ① 血管同定のコツ
 ② 網囊腔に進入するコツ・膵損傷を回避するコツ
3.腸管・腸間膜の剝離・授動におけるピットフォール・偶発症の対応
 ① 脾臓被膜損傷に対する処置
IV S状結腸癌に対するD3郭清
  ─腸間膜癒着型,ないしは右S状結腸型を想定─
1.手術操作手順
2.腸管・腸間膜の剥離・授動におけるコツ・工夫
 ① 適切な剝離層を見つけるコツ
 ② 血管処理範囲を決めるコツ
 ③ 腸管血流の確認のコツ
3.腸管・腸間膜の剥離・授動におけるピットフォール・偶発症の対応
 ① 辺縁動静脈の切離(腸管虚血)に気づいた際の対応
V 下部直腸癌に対する剝離授動
  ─Rbにかかる進行癌を想定─
1.手術操作手順
2.腸管・腸間膜の剥離・授動,直腸切離におけるコツ・工夫
 ① 骨盤神経叢・神経血管束と直腸との剝離層を見つけるコツ
 ② 直腸・挙筋間剝離の工夫
 ③ ステイプラー挿入と直腸切離のコツ
 ④ distal marginの推定と確保の工夫
 ⑤ 閉塞性直腸癌におけるステント挿入から直腸切除までのコツ・工夫
3.直腸切離におけるピットフォール・偶発症の対応
 ① distal marginが不十分な時
 ② leak test陽性への対応
VI 側方郭清
  ─#283に1.5cm大のリンパ節腫大ありを想定─
1.手術操作手順
2.剥離におけるコツ・工夫
 ① 閉鎖神経確認・温存のコツ
 ② #263D郭清範囲
 ③ #283リンパ節の最深部の郭清
3.側方郭清におけるピットフォール・偶発症の対応
 ① 内腸骨静脈枝からの出血に対する対応
索 引

ワンポイントアドバイス
 上行結腸癌におけるD3郭清範囲─中結腸動脈根部郭清を行うか─
 横行結腸切除と拡大結腸右半切除の選択をどうするか?
 独立した“left-middle colic A”/IMVの処理はどうするか?
 SMA領域・IMA領域の郭清範囲
 Bulky N2でIMA pedicleを把持できない時の対処
 腹腔側からの剝離の限界
 DSTとISRのdecision making
 エネルギーデバイスの選択:利点と欠点
 血管合併切除の適応と手技