立ち読みをする 関連情報 本書の関連書籍はこちら 編集:田中伸哉(北海道大学教授) 編集 西原広史(慶應義塾大学教授) B5判・416頁・4色刷ISBN 978-4-8306-0499-72025年11月5日発行予定 定価 12,100 円 (本体 11,000円 + 税10%) なし 在庫
内容序文主要目次病理診断の拠り所となるWHO分類が続々改訂されているが,従来の病理組織所見に加えて,新たに分子病理による診断基準が多くの臓器に追加されている.各臓器の専門知識が求められる一方で,一般病理医がそのすべてを理解することは現実的に難しい.そこで本書では,一般病理医が領域横断的にそのエッセンスを理解できるように,「組織診断」との関連性を踏まえたうえで,「ゲノム診断」を用いて病理診断に至る過程を各臓器のエキスパートが解説した.主要な臓器では対話形式の症例検討を掲載.『がんゲノム病理学』の姉妹書として,分子病理専門医試験にも役立つ1冊.序 本書は『がんゲノム病理学』(第2版,2025年4月刊行)の姉妹本にあたり,『がんゲノム病理学』を“総論”編とすれば,本書は“各論”編である.前者は,がんゲノム医療に関する法的事項,検体の管理,がんゲノム異常,がんゲノムプロファイリング検査,分子標的治療薬などの項目について,日本病理学会認定の分子病理専門医試験の受験に向けた基礎を学ぶことを目的に編集されたものであるが,本書はそれに続き,がんゲノム医療を実践する際に必要な知見を臓器別にまとめたものである. 分子病理専門医はがんゲノムプロファイリング検査から治療方針を議論するエキスパートパネルの場で,専門的知識を基に活躍し,本邦のがんゲノム医療の中心を担っている.ただし,現在のがんゲノム医療は,ゲノムプロファイルのコンパニオン診断的な価値,ゲノム異常に対応する薬剤を選定する臨床的有用性に重点が置かれており,ゲノムプロファイルの情報を分子病理分類molecular classificationに利用するという診断的有用性は重要視されていない.これは,保険診療では初期の病理診断の段階でゲノムプロファイル検査を実施することが認められていないという,制度上の問題があるためである. 現在,血液腫瘍や脳腫瘍ではWHO分類の中で,ゲノムプロファイルを基にした分子分類の概念がいち早く確立し,子宮内膜癌ではFIGO分類上でゲノムプロファイルを基にした病期が採用されるなど,形態診断とゲノム診断を融合した次世代型の統合病理診断が浸透してきている.日本病理学会はこうした現状を背景に,免疫染色のように保険診療の一環としての遺伝子検査を要望しており,「ゲノム病理診断学」の夜明けを迎えようとしている. 本書では,今後ゲノムプロファイルを加味した分子病理分類が日常病理診断の一環として行われることを想定し,各臓器のエキスパートの先生方に各癌種における分子病理分類の現状と診断学的意義について最新の知見を解説していただいた.すでに実際の病理診断に活用されているものも含まれるが,多くはこれからの「ゲノム病理診断学」の基盤となる情報と思われる.本書を病理専門医,分子病理専門医を目指す若手病理医ばかりでなく,がんゲノム医療に関わる多くの医師,医療関係者に,これから始まる新たな診断学の道標として活用していただきたい.2025年9月田中伸哉・西原広史Introduction―分子病理診断の歴史と現状― 第1章 中枢神経系腫瘍 第2章 胸腔内腫瘍 (1)肺 (2)胸膜・胸腺 第3章 婦人科腫瘍 (1)卵巣・卵管・腹膜 (2)子宮 第4章 骨軟部腫瘍 第5章 血液腫瘍 症例で学ぶ(番外編) 第6章 内分泌,神経内分泌腫瘍 (1)甲状腺・副甲状腺 (2)下垂体 (3)副腎 (4)消化管NET,膵NEN 第7章 消化管腫瘍 (1)食道 (2)胃 (3)小腸,大腸 (4)肝臓 (5)胆道 (6)膵臓 第8章 乳腺腫瘍 第9章 泌尿器腫瘍 (1)腎 (2)前立腺 (3)精巣 (4)尿路上皮 第10章 頭頸部腫瘍 (1)口腔・舌 (2)鼻副鼻腔・咽頭 (3)唾液腺 第11章 皮膚腫瘍 第12章 小児腫瘍 第13章 眼,眼窩内腫瘍 索引