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10年ぶりの改訂版が完成!神経障害性疼痛を抱える患者の苦痛の軽減とQOLの向上に寄与するための実践的な手引き

新刊

神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン改訂第3版

カバー写真
  • 編集:日本ペインクリニック学会 神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン作成ワーキンググループ
  • B5判・172頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-2863-4
  • 2026年6月19日発行
定価 3,740 円 (本体 3,400円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

神経障害性疼痛患者は,他の慢性疼痛患者と比較して心理的苦痛が強い,睡眠障害が多いなど,QOLに深刻な影響があるとされている.神経障害性疼痛に使用する薬物については,不適切な処方に伴う有害な副作用によって生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)の悪化が懸念されるため,今回の改訂第3版では「益と害のバランス」をより重視した内容に刷新している.ペインクリニック専門医のみならず,一般内科,糖尿病内科,整形外科,脳神経外科・内科など,日常診療で神経障害性疼痛に向き合う全ての医療者に是非活用していただきたい.


 痛みの診断と治療を専門とする医学を進歩・発展させ,その知識と技術の普及をはかることを目的に創設された一般社団法人日本ペインクリニック学会は,その歴史が半世紀を超え,4,500名超(2026年現在)の会員を束ねる,痛みに関する日本一,そして,世界最大級の学術団体として,年次学術集会および各支部学術集会の開催,専門医制度の制定と専門医試験の実施,学術機関誌である日本ペインクリニック学会誌の発刊,治療指針・ガイドライン・ステートメントの作成・公開などの様々な活動を継続してきている.それらの活動のなかでも各種ガイドラインの作成は,本邦における痛みの診療の均てん化に重要な役割を果たしている.
 今回,『神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン』の改訂作業が終了,改訂第3版を発表するに至った.本学会では各種ガイドラインをこれまでに公開しているが,『非がん性慢性疼痛に対するオピオイド鎮痛薬処方ガイドライン』および本ガイドラインを,本学会が示す痛みの診療の均てん化を目指すために重要なガイドラインであると位置づけ,継続的な改訂作業を実施,いずれのガイドラインも改訂第3 版を公開するに至っている.さらに改訂作業にあたっては,蓄積した各種エビデンスに基づいて見直しを行うのみならず,時代の潮流に呼応するよう工夫を凝らしている.
 『神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン』の初版(2011年)の発表当時,神経障害性疼痛の定義が“体性感覚系に対する損傷や疾患によって直接的に引き起こされる疼痛”と変更されたこと,国際疼痛学会(IASP:International Association for the Study of Pain)や欧州神経学会(EFNS:European Federation of Neurological Societies),National Institute for Health and Care Excellence(NICE)などにより相次いでガイドラインが公開されたこと,本邦初の神経障害性疼痛治療薬であるプレガバリンが承認されたことなどを背景に,本邦の現状を認識し,かつ国際的なEBM(根拠に基づく医療)に基づいた神経障害性疼痛に関する薬物療法のガイドラインの発行を求める声が多く聞かれるようになっていた.初版の発行により,多くの医療者の神経障害性疼痛とは何か,生活に及ぼす深刻な影響,診断や治療への理解が進んだと考えられる.
 前版の改訂第2版(2016年)に際しては,初版の発行以降,短期間に多くの薬物が上市され,専門家でない医師による処方が増えたことなどから,様々な問題が多く報告されるようになり,臨床的使用価値があり,日本医療機能評価機構が厚生労働省委託事業として実施しているEBM 普及推進事業(Minds)に準拠したガイドラインへの改訂の要望が高まっていた.そのために改訂第2版では,各項目にクリニカルクエスチョン(CQ)形式が採用され,要約,エビデンスレベル,推奨度,解説が示され,より内容の濃いものになった.
 改訂第2版以降,新規に上市された薬物はCa2+チャネルα2δリガンドであるミロガバリンのみであるが,世界保健機関(WHO)による5 Moments for Medication Safety(薬を安全に使うための5つの瞬間)やIASP による神経障害性疼痛の研究と臨床実践のためのグレーディングシステムが公開されるなど,「益と害のバランス」を重視するガイドラインの改訂の機運が高まっていた.神経障害性疼痛に使用する薬物については,不適切な処方に伴う有害な副作用(特に神経系)による生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)の悪化が懸念されるため,今回の改訂第3版では改訂第2版の作成方法を継承しながらも,より益と害のバランスに留意した推奨度となっている.「神経障害性疼痛薬物療法で用いる選択薬の種類と使用方法」(第Ⅲ章の表5[p30]参照)についても改訂第2版から引き続き示されており,専門家でない医師による処方の適正化の促進が期待されるところである.
 ただ,改訂ごとに繰り返し述べられることであるが,これまでと同様『神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第3版』も治療方針の決定,専門施設への紹介の判断とともに「益と害のバランス」を考慮することを目的に作成されており,補償や訴訟などの,その他の状況に使用するべきでないことを,ここに明記する.
 最後に,『神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第3版』作成にあたり,様々なご意見をいただきました本学会の会員の皆様,関係学会の皆様,特に多大なご尽力をいただきました神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン作成ワーキンググループの関係各位にこの場を借りて,感謝の意を表します.

 令和8年7月吉日
 山口 重樹
 一般社団法人日本ペインクリニック学会 代表理事
Ⅰ.神経障害性疼痛の概論
 1.神経障害性疼痛の定義
 2.神経障害性疼痛の病態
 3.神経障害性疼痛を呈する疾患
 4.神経障害性疼痛と慢性疼痛症候群
 5.神経障害性疼痛の疫学

Ⅱ.神経障害性疼痛の診断と治療
 1.神経障害性疼痛の診断
 2.神経障害性疼痛の臨床的特徴
 3.神経障害性疼痛の治療方針
 4.神経障害性疼痛の薬物療法

Ⅲ.薬物療法アルゴリズム

Ⅳ.神経障害性疼痛に対する薬物療法
 1.Ca2+チャネルα2δリガンド
  CQ1:Ca2+チャネルα2δリガンドは神経障害性疼痛に有用か?
 2.セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
  CQ2:デュロキセチンは神経障害性疼痛に有用か?
 3.三環系抗うつ薬(TCA)
  CQ3:三環系抗うつ薬は神経障害性疼痛に有用か?
 4.ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液
  CQ4:ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液は神経障害性疼痛に有用か?
 5.トラマドール
  CQ5:トラマドールは神経障害性疼痛に有用か?
 6.ブプレノルフィン
  CQ6:ブプレノルフィンは神経障害性疼痛に有用か?
 7.強オピオイド鎮痛薬
  CQ7:強オピオイド鎮痛薬は神経障害性疼痛に有用か?
 8.非オピオイド鎮痛薬
  CQ8:非オピオイド鎮痛薬は神経障害性疼痛に有用か?
 9.その他の抗うつ薬
  CQ9: 三環系抗うつ薬/セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬以外の抗うつ薬は
   神経障害性疼痛に有用か?
 10.抗てんかん薬
  CQ10:抗てんかん薬は神経障害性疼痛に有用か?
 11.NMDA(N‒methyl‒D‒aspartate)受容体拮抗薬
  CQ11:NMDA 受容体拮抗薬は神経障害性疼痛に有用か?
 12.抗不整脈薬
  CQ12:抗不整脈薬は神経障害性疼痛に有用か?
 13.漢方薬
  CQ13:漢方薬は神経障害性疼痛に有用か?
 14.リドカイン外用薬
  CQ14:リドカイン外用薬は神経障害性疼痛に有用か?
 15.カプサイシンパッチ
  CQ15:カプサイシンパッチは神経障害性疼痛に有用か?

Ⅴ.神経障害性疼痛を呈する疾患
 16.帯状疱疹後神経痛(PHN)
  BQ16:帯状疱疹後神経痛とはどのような病態か?
  CQ16‒1:帯状疱疹後神経痛にCa2+チャネルα2δリガンドは有用か?
  CQ16‒2:帯状疱疹後神経痛に抗うつ薬は有用か?
  CQ16‒3:帯状疱疹後神経痛にオピオイド鎮痛薬は有用か?
   CQ16‒3‒1:帯状疱疹後神経痛にトラマドールは有用か?
   CQ16‒3‒2:帯状疱疹後神経痛に強オピオイド鎮痛薬は有用か?
  CQ16‒4: 帯状疱疹後神経痛にワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液は有用か?
 17.有痛性糖尿病性神経障害(PDN)
  BQ17:有痛性糖尿病性神経障害とはどのような病態か?
  CQ17‒1:有痛性糖尿病性神経障害にCa2+チャネルα2δリガンドは有用か?
  CQ17‒2:有痛性糖尿病性神経障害に抗うつ薬は有用か?
   CQ17‒2‒1: 有痛性糖尿病性神経障害にセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬は
    有用か?
   CQ17‒2‒2:有痛性糖尿病性神経障害に三環系抗うつ薬は有用か?
   CQ17‒2‒3:有痛性糖尿病性神経障害にその他の抗うつ薬は有用か?
  CQ17‒3:有痛性糖尿病性神経障害にオピオイド鎮痛薬は有用か?
   CQ17‒3‒1:有痛性糖尿病性神経障害に強オピオイド鎮痛薬は有用か?
   CQ17‒3‒2:有痛性糖尿病性神経障害に弱オピオイド鎮痛薬は有用か?
  CQ17‒4:有痛性糖尿病性神経障害にその他の薬物療法は有用か?
   CQ17‒4‒1:有痛性糖尿病性神経障害にαリポ酸は有用か?
   CQ17‒4‒2:有痛性糖尿病性神経障害にエパルレスタットは有用か?
   CQ17‒4‒3:有痛性糖尿病性神経障害にメキシレチンは有用か?
 18.外傷後神経障害性疼痛(PTNP)
  BQ18: 外傷後神経障害性疼痛(手術による損傷と幻肢痛を含む)とはどのような病態か?
  CQ18‒1:外傷後神経障害性疼痛にCa2+チャネルα2δリガンドは有用か?
  CQ18‒2:外傷後神経障害性疼痛に強オピオイド鎮痛薬は有用か?
  CQ18‒3:外傷後神経障害性疼痛にその他の薬物療法は有用か?
 19.三叉神経痛
  BQ19:三叉神経痛とはどのような病態か?
  CQ19‒1:三叉神経痛にカルバマゼピンは有用か?
  CQ19‒2:三叉神経痛にその他の薬物療法は有用か?
 20.中枢性脳卒中後疼痛(CPSP)
  CQ20:中枢性脳卒中後疼痛にどのような薬物療法が有用か?
 21.多発性硬化症
  CQ21‒1:多発性硬化症による神経障害性疼痛にデュロキセチンは有用か?
  CQ21‒2:多発性硬化症による神経障害性疼痛にその他の薬物療法は有用か?
 22.脊髄損傷後疼痛
  BQ22‒1:脊髄損傷後疼痛とはどのような病態か?
  CQ22‒1:脊髄損傷後疼痛にCa2+チャネルα2δリガンドは有用か?
  CQ22‒2:脊髄損傷後疼痛に抗うつ薬は有用か?
  CQ22‒3:脊髄損傷後疼痛にトラマドールは有用か?
  BQ22‒2:脊髄損傷後疼痛にその他の薬物療法は有用か?
 23.化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)による疼痛
  BQ23:化学療法誘発性末梢神経障害による疼痛とはどのような病態か?
  CQ23‒1:化学療法誘発性末梢神経障害による疼痛にセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み
   阻害薬は有用か?
  CQ23‒2: 化学療法誘発性末梢神経障害による疼痛にCa2+チャネルα2δリガンドは有用か?
  CQ23‒3:化学療法誘発性末梢神経障害による疼痛にその他の薬物療法は有用か?
 24.がんによる直接的な神経障害性疼痛(NCP)
  BQ24:がんによる直接的な神経障害性疼痛とはどのような病態か?
  CQ24‒1:がんによる直接的な神経障害性疼痛にオピオイド鎮痛薬は有用か?
  CQ24‒2:がんによる直接的な神経障害性疼痛に神経障害性疼痛治療薬は有用か?
 25.手術後神経障害性疼痛
  BQ25‒1:慢性術後痛の病態に神経障害性疼痛はどのように関与しているのか?
  BQ25‒2:薬物により手術後神経障害性疼痛を予防できるか?
  CQ25‒1:開胸術後神経障害性疼痛にどのような薬物療法が有用か?
  CQ25‒2:乳房切除後神経障害性疼痛にどのような薬物療法が有用か?
  CQ25‒3:鼠径ヘルニア術後神経障害性疼痛にどのような薬物療法が有用か?
 26.神経根症
  BQ26:神経根症とはどのような病態か?
  CQ26‒1:神経根症に抗うつ薬は有用か?
  CQ26‒2:神経根症にCa2+チャネルα2δリガンドは有用か?
  CQ26‒3:神経根症にオピオイド鎮痛薬は有用か?
  CQ26‒4:神経根症にその他の薬物療法は有用か?

索引