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レジデントのためのロングセラー内科研修マニュアル,5年ぶり第11版改訂!

内科レジデント実践マニュアル第11版

経時的流れに応じた適切な治療

  • 編集:三井記念病院内科
  • B6変型判・440頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-2049-2
  • 2020年3月18日発行
定価 4,180 円 (本体 3,800円 + 税10%)
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正誤表

内容

序文

主要目次

三井記念病院内科が総力をあげて編集・執筆した,レジデントのための内科研修マニュアル.1989年の第1版より改訂を重ねているロングセラー,5年ぶりの第11版改訂.今回の改訂では従来以上に,患者が救急外来に訪れてから入院1日目までの対応に重点を置き,急性期の対応について解説,さらに使いやすい内容となった.救急外来で,当直で,日常診療でいつも手元に置いて役立つ実践的な一冊.
第11版発行に際して

 1989年の第1版の発行から30年の歳月が流れました.初版の出版に尽力したレジデント達はそれぞれに活躍の場を見出し,このマニュアルを手にした250名を超える内科レジデントが1年以上の三井記念病院での内科研修を経験して巣立っていきました.
 本書のコンセプトは「経時的流れに応じた適切な治療」です.経験の少ない医師が臨床を実際に体験しながら自主・自立の精神で学んだことや先輩医師からのアドバイスを網羅したマニュアルであり,第11版にもその伝統が受け継がれています.患者ケアの初期対応や迅速に行うべき治療も網羅されており,情報収集する時間が十分にとれないレジデントにとって利用しやすいように配慮されています.
 よりよい医師になる秘訣は日常の中にあります.勤勉さ,清明な心,創意工夫,進取の精神を失わずに日々の修練を継続すれば,必ずよりよい医師になれると断言できます.具体的には医師として最も大切な3つの能力はパフォーマンス,コミュニケーション,リーダーシップであります.医師の修練が始まった研修医や病棟医の時期に3つの心得を持ってしっかりと自分の資質を見極めて研鑽を積むことをお勧めします.

【病棟医の心得その1】医師にふさわしいパフォーマンスを身につける
 医師というプロフェッショナルにふさわしい態度には,まず「挨拶をする,約束を守る,礼儀をわきまえる」といった人間力が大前提となります.そのうえで,患者さんや患者さんに関わる人々との関係性から学び信頼される医師には「不平を言わない,自信なく嘆かない」姿勢が貫かれています.メンターとの出会いや医師としての修練を通して,職業上の人格と誇りを熟成することが求められています.

【病棟医の心得その2】医師に必要なコミュニケーションを身につける
 世界医師会による「ジュネーブ宣言のシカゴ改訂(2017年)」では「患者の自立性の尊重」が正式に掲げられました.医師-患者関係において「患者さんの自己決定権を尊重すること」は医療倫理の基本です.そのうえ,現在では「患者と家族の価値観と意向・希望を共有したうえでの協働的意思決定」が求められる時代になっています.リスクを伴う,ないしは医療費が高額となるような検査法・治療法や終末期のケアを選択する際には,特にこのようなコミュニケーションが重要となります.また,チーム医療の一員としてスタッフの言葉に対する傾聴力がなければ,自分勝手な判断が先に立ち,協働して仕事を進めることが難しくなります.グローバル化が加速する時代にあって多様な背景をもつ患者さんを真摯に診ることができる医師に求められるコミュニケーションの資質には,言語や異文化間コミュニケーションスキルと合わせて他者への深い理解力や共感も欠かせないといえます.

【病棟医の心得その3】医師に必要なリーダーシップを身につける
 チーム医療の時代において,医師にはチーム医療のリーダーとしての役割が求められます.例えば,病棟は医療職に加えて多職種が業務に従事する現場ですが,医師が率先して各々の職種の人の立場を理解して業務に取り組むことで,メンバー同士が互いに尊敬し合うよいチームが組成されます.
 医学・医療には原因がわからないことや結果を予見できないことがいまだに多く残っています.それゆえに現在の知見を形作っているのは過去の失敗の積み重ねであり,これからも改善活動を継続していく姿勢が求められています.医療の質を改善するためには,自らのデータを過去のデータや進んだ取り組みをしている施設と比べて,取り組むべき課題や目標を見つけ,対策を立て,実行する必要があります.こうしたプロセスの中でも,クリティカル・シンキングやマインドが最重要になります.そして,何より観察したことや思考したことを病院内や学会だけでなく,社会に積極的に発信する
姿勢がリーダーの役割機能として期待されています.

2020年3月
原 和弘
三井記念病院副院長,内科部長
第11版発行に際して

1 心肺蘇生法
2 ショック,敗血症(Sepsis),アレルギー
 Ⅰ.ショック
 Ⅱ.敗血症(Sepsis)
 Ⅲ.アレルギー
3 胸痛,呼吸困難,腹痛
 Ⅰ.胸 痛
 Ⅱ.呼吸困難
 Ⅲ.腹 痛
4 意識障害・意識の変容
 Ⅰ.意識障害
 Ⅱ.せん妄
 Ⅲ.アルコール多飲者が入院した場合の注意点
 Ⅳ.精神科・神経内科レスキュー(悪性症候群)
5 失 神
6 頭 痛
7 けいれん,てんかん
 Ⅰ.けいれん[発作]
 Ⅱ.てんかん
8 めまい
9 貧血,出血傾向,DIC,輸血
 Ⅰ.貧 血
 Ⅱ.出血傾向
 Ⅲ.DIC
 Ⅳ.輸 血
10 発熱・感染症
 Ⅰ.発熱患者の診かた
 Ⅱ.感染症各論
11 急性冠症候群
 Ⅰ.診断,状態の把握,初期緊急処置
 Ⅱ.初期治療
 Ⅲ.合併症
12 心不全
 Ⅰ.診断の手順
 Ⅱ.急性期治療
 Ⅲ.慢性期への移行(薬物治療を中心に)
 Ⅳ.非薬物治療
13 不整脈
14 急性大動脈解離
15 高血圧緊急症
16 感染性心内膜炎
17 急性肺血栓塞栓症
18 呼吸不全
19 気 胸
20 気管支喘息
21 肺 炎
22 消化管出血
 Ⅰ.消化管出血の一般的対応:診察〜初期治療
 Ⅱ.上部消化管出血 
 Ⅲ.下部消化管出血
 Ⅳ.原因不明の消化管出血(OGIB)への対応
 Ⅴ.内視鏡検査に伴う消化管出血
23 急性腹症,胆・膵疾患
 Ⅰ.急性腹症
 Ⅱ.胆・膵疾患
24 肝疾患(肝不全)
 Ⅰ.急性肝不全
 Ⅱ.慢性肝不全
 Ⅲ.肝不全の合併症の初期対応
25 脳血管障害
 Ⅰ.一過性脳虚血発作(TIA)
 Ⅱ.脳梗塞
 Ⅲ.脳出血
 Ⅳ.くも膜下出血
26 髄膜炎
27 糖尿病
28 内分泌緊急症
 Ⅰ.副腎クリーゼ(急性副腎不全)
 Ⅱ.甲状腺クリーゼ(Basedowクリーゼ)
 Ⅲ.粘液水腫昏睡
29 膠原病・リウマチ患者の初期対応
30 急性腎障害
 Ⅰ.急性腎障害の患者を診たら
 Ⅱ.造影剤腎症の患者を診たら
 Ⅲ.慢性腎臓病患者の急性増悪を診たら
31 電解質・酸塩基平衡異常
 Ⅰ.電解質異常の患者を診たら
 Ⅱ.酸塩基平衡異常の患者を診たら
32 輸液療法
 Ⅰ.輸液療法の概要
 Ⅱ.中心静脈栄養(TPN)
 Ⅲ.透析患者の輸液療法
 Ⅳ.経腸栄養
33 Oncologic emergencyと疼痛管理
 Ⅰ.Oncologic emergency
 Ⅱ.疼痛管理
34 術前の循環器評価

NOTE
 1 針刺し事故の対応
 2 食事療法
 3 感染症・違法薬物の迅速検査
 4 医療安全と医療の質の改善
 5 主な抗菌薬の略語一覧

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