眼科医・視能訓練士の眼科検査スタンダードテキスト,12年ぶり大改訂!
眼科検査ガイド第2版
内容
序文
主要目次
2004年に発刊された「眼科検査ガイド」は,眼科領域に必要な検査を全て網羅し,検査方法から結果の読み方まで詳細に記述し,まさに眼科検査の「字引」として,眼科医,視能訓練士双方から絶大な信頼を得てきた.今回12年ぶりの大改訂にあたって,近年益々重要度の増しているOCTに大幅な頁をあて,現時点での眼科検査のスタンダードテキストとなっている.
序文
この度「眼科検査ガイド」を改訂することになりました.初版が刊行されてから10年余りになりますが,この間新しい検査法が開発され眼科診療形態も大きく変化しました.このような変化に対応し,現代眼科検査学の最新知識を網羅的にまとめたテキストのニーズが高まったことから,改訂することになりました.
初版のコンセプトは眼科検査の標準的レベルの実践的知識を辞書的に活用できることでした.この企画は大変好評で,眼科専門医はもとより研修医や視能訓練士の皆様に広く活用され,多くの教育施設で教科書として採用されたと聞いています.今回の改訂においてもこのコンセプトは引き継ぐことと致しました.
初版と変更したのは,“検査学の辞書”に特化するため項目立ては全て検査名としました.またページ数の増加を抑えるため,初版にあった眼科検査手順という診断学的な章は割愛し,必要事項は各検査項目の中に組み込むことにしました.
今一つの特徴は,この10年で大きく進化した光干渉断層計を新規項目として独立させた点です.光干渉断層計の普及は,いわば生体病理学ともいうべき新しい眼科病態学を確立させ眼科診療形態にも大きな変化をもたらしました.今回の改訂ではこの分野に注力し,カラー写真,カラーイラストを豊富に使用することで最新の知見を一目で理解しやすいように努めました.
眼科診断は問診や対面診察が基本であり検査はそれを補助するものでしたが,近年の検査機器は医師が見えない部分も解析してくれます.検査結果はデジタル表示され統計解析もしてくれます.主要な疾患を肉眼的診察なしに無散瞳,非侵襲的に診断でき,診療形態も変化しつつあります.自分の眼で診る時代から機械が見たものを診る時代とも言えます.それだけに機械の目がどうなっているのか,どのように見ているのか,どこに限界があるのかを熟知しておかないと機械的診断結果に振り回されることになります.
検査結果を的確に評価できることを目的に各項目の構成は概ね以下のように致しました.
1 検査の目的
1)検査対象
2)目標と限界
2 検査法および検査機器
1)測定原理・測定範囲
2)機器の構造
3)感度と特異度
3 検査手順
1)検査の流れ
2)機器の使い方
3)検査のコツと注意点
4 検査データの読み方と解釈
1)正常結果
2)異常所見とその解釈
3)アーチファクト
本書が眼科検査学の標準本として皆様にお役立ていただけるものと信じております.最後になりましたが,誠にご多忙のところ快くご執筆を賜りました執筆者の皆様に心より御礼を申し上げます.
2016年9月
監修 根木 昭
編集 飯田知弘
近藤峰生
中村 誠
山田昌和
1.視力検査
1)視力検査の条件
2)遠見視力検査(log MARを含む)
3)近見視力検査
4)小児の視力検査
5)両眼開放視力検査
6)省スペース視力表
7)コントラスト感度と干渉縞視力
8)グレア検査
9)読書検査
10)他覚的視力検査(心因性視力障害・詐病検査)
11)ロービジョン検査
2.屈折検査
1)他覚的屈折検査
①オートレフラクト(ケラト)メータ
②ポータブルオートレフラクト(ケラト)メータ
③検影法
④波面収差解析装置
2)自覚的屈折検査
①レンズ交換法
②雲霧法
③ 2 色テスト(赤緑テスト)
④クロスシリンダー法
3.眼鏡・コンタクトレンズ検査
1)眼鏡処方
①遠用眼鏡,近用眼鏡,遠近両用・累進レンズ
②小児の眼鏡処方
2)眼鏡検査
①レンズメータ
②レンズ曲率
③レンズ厚
④眼鏡枠の測定
⑤瞳孔間距離
3)コンタクトレンズ検査
①コンタクトレンズの種類と選択
②フィッティング
③レンズ検査
④特殊コンタクトレンズ(円錐角膜など)
4.調節・輻湊検査
1)調節検査
①自覚的調節検査
②他覚的調節検査
2)輻湊検査
5.眼位・眼球運動検査
1)眼位検査
①眼位定性検査(遮閉試験)
②眼位定量検査
③単眼性眼位検査
④固視検査
2)眼球運動検査
① 9方向むき眼位
② Hess-Lancasterテスト
③ひっぱり試験・牽引試験
④注視野検査
3)頭位の測定
4)眼球震盪の検査
5)ビデオ眼球運動記録法
6.両眼視機能検査
1)大型弱視鏡
2)立体視検査
3)網膜対応検査
4)不等像視検査
7.光覚検査
1)光覚検査
8.色覚検査
1)仮性同色表
2)パネルD-15テスト
3)ランタンテスト
4)Farnsworth-Munsell 100hueテスト
5)アノマロスコープ
9.視野検査
1)Goldmann 視野計(動的視野検査)
2)自動視野計
① Humphrey視野計
② Octopus視野計
3)中心暗点計
①河本式中心暗点計
② Amsler Charts
③ M-CHARTS
4)眼底直視下視野計
5)Octopus 視野計(パルサー法)
6)色視野計測(blue on yellow視野測定)
7)他覚的視野計
①瞳孔視野計
②多局所視覚誘発電位
8)その他の視野計
① FDT
② noise-field campimetry(snow field campimetry)
9)緑内障の視野検査
①スクリーニング
②精密検査
③経過観察
10)神経眼科疾患の視野検査
① Goldmann視野計
②自動視野計
③中心視野と対座法
④中心フリッカー値
10.外眼部・涙道検査
1)眼球突出計
2)非侵襲的マイボグラフィ検査
3)涙液量検査
4)BUT検査,non-invasive BUT(NI-BUT)
5)角結膜染色法
6)涙管通水試験と涙管ブジー法
7)涙道造影検査
8)涙道内視鏡検査
11.前眼部検査
1)細隙灯顕微鏡検査
2)前眼部写真の撮影法
3)スペキュラーマイクロスコピー
4)共焦点顕微鏡検査
5)ケラトメーター
6)角膜形状解析
①プラチド円板
②フォトケラトスコープ
③角膜トポグラフィ(ペンタカム,オーブスキャン含む)
7)前眼部OCT
8)角膜知覚測定
9)角膜厚測定の活用
12.眼内レンズ度数計測
1)眼内レンズ度数決定の理論
2)超音波Aモード眼軸長計測
3)光学式眼軸長計測
4)乱視用眼内レンズの度数,軸の決定
5)多焦点眼内レンズの度数決定
13.眼圧検査
1)眼圧測定法
2)眼圧日内変動
3)誘発試験
14.前房・隅角検査
1)細隙灯顕微鏡検査
①前眼部所見
② van Herick法
2)トノグラフィー
3)隅角鏡・圧迫隅角鏡
4)前眼部蛍光造影検査
5)超音波生体顕微鏡・前眼部光干渉断層計
15.眼底検査
1)直像鏡(固視検査も含めて)
2)単眼倒像鏡
3)双眼倒像鏡(強膜圧迫法)
4)網膜硝子体のスリットランプ検査
16.光干渉断層計
1)前眼部OCT(11.前眼部検査の7)前眼部OCTの項参照)
2)後眼部OCT
①正常所見とアーチファクト
②原理と種類
③撮影の基本
④硝子体と硝子体牽引
⑤網膜肥厚
⑥網膜菲薄
⑦網膜内囊胞・網膜分離
⑧網膜剝離
⑨網膜色素上皮隆起
⑩脈絡膜
⑪緑内障
⑫視路疾患
⑬OCTアンギオグラフィ
17.眼底写真
1)眼底撮影
①眼底撮影
②無赤色眼底撮影
③広角眼底撮影
④合成写真
⑤立体眼底撮影
2)走査レーザー検眼鏡
3)フルオレセイン蛍光眼底造影
4)インドシアニングリーン蛍光眼底造影
5)眼底自発蛍光撮影
6)黄斑色素測定
18.その他の眼底画像検査,眼循環検査
1)レーザースペックルフローグラフィ
2)レーザードップラー眼底血流計
3)眼底血圧(網膜中心動脈圧)測定
19.電気生理検査
1)網膜硝子体疾患の電気生理学的検査
① ERG(網膜電図)
②局所ERG
③多局所ERG
④ EOG(眼電位図)
2)神経眼科疾患の電気生理学的検査
① VEP(視覚誘発電位)
②眼球電位図(EOG),電気眼振図(ENG)
③ EMG
20.瞳孔検査
1)瞳孔径計測
2)瞳孔反応検査
3)点眼試験
4)赤外線瞳孔計
21.超音波・放射線・画像診断
1)超音波検査(網膜硝子体)
2)単純X線写真
3)X線CT
4)MRI(眼窩)
5)MRI(頭蓋内),MRA
6)PET,ガリウムシンチグラフィ,SPECT
22.検体検査
1)前眼部検体検査
①角結膜スメア
②細菌検査
③アカントアメーバ検査
④真菌検査
⑤クラミジア検査
⑥ウイルス検査
a. アデノウイルス,AHCウイルス
b. 単純ヘルペスウイルス,水痘・帯状疱疹ウイルス
2)網膜硝子体の検体検査
3)病理検査
23.各種補助検査
1)ぶどう膜炎の補助検査
①一般血液検査
②血清学的検査
③免疫学的検査
④皮内反応
⑤腰椎穿刺
⑥バイオプシー
⑦全身的検査
2)神経眼科疾患の補助検査
①アイステスト,テンシロンテスト
②挙筋機能検査
③瞬目検査,眼瞼痙攣
3)アレルギー検査(涙液,皮膚,血液を含めて)
24.遺伝子検査
遺伝子検査
索引