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心臓外科医の長年にわたる試行錯誤,経験の積み重ねから得られた貴重な知恵を,サイエンスに裏打ちされたアートとして次の世代に伝える好評のシリーズ!

心臓外科Knack & Pitfalls  

大動脈外科の要点と盲点第2版

カバー写真
  • 監修:髙本眞一(三井記念病院院長)
  • B5判・424頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2337-0
  • 2013年10月発行
定価 21,600 円 (本体 20,000円 + 税)
あり
在庫

内容

序文

主要目次

第1版が出版されてから,胸部,腹部大動脈疾患の領域にステントグラフトがさらに大きく発展し,今や多くの施設でなくてはならない治療法となってる.第2版においてはこのステントグラフト療法を重点的に取り上げ,新しい知見を入れて,現在の時点での最新の情報にバーションアップした.
☆表組33点,図版129点,カラー写真138点,モノクロ写真77点

序文

 大動脈外科はこの20年飛躍的な進歩を遂げてきました.40年以上前には手術死亡率も高く,内科の教科書には手術死亡率が高いため,診断しても外科に回して手術しないほうがよいと書かれていたほどです.しかし1990年代に入って,本邦で脳保護において世界に先駆けて逆行性脳灌流法が提唱され,順行性灌流においても脳保護がさらに洗練され,大動脈の外科治療は世界でも最も進んだ国となりました.その大きな原因は本邦が諸外国に比べて大動脈疾患が多く,多数の心臓血管外科医が経験を多く積むことができること,またCTの普及度が世界一となり,多くの大動脈疾患の診断と治療に有効に使用されるようになったことがあげられます.日本胸部外科学会学術委員会のアンケート調査によると,2010年では本邦全体でA型大動脈解離手術の30日死亡率は11.1%,非破裂性弓部大動脈瘤は,2010年で院内死亡率が4.8%まで減少し,外国と比べても国全体の成績としてはトップレベルでした.
 2005年に「大動脈外科の要点と盲点」の初版が出版されてから,胸部,腹部大動脈疾患の領域にステントグラフトがさらに大きく発展し,今や多くの施設でなくてはならない治療法となっています.第2版においてはこのステントグラフト療法を重点的に取り上げ,新しい知見を入れて,その道の専門家に書き直していただこうと考えました.デバイスの発達とともにこれからもまだまだ発展する領域ですが,現在の時点での最新の情報を読者にお届けしたいと思います.大動脈外科手術の領域においても感染,意識障害,偽腔閉塞型大動脈解離,遺伝子との関係など最近の進歩が見られるところは新進気鋭の若手の外科医に新たに書き直していただきました.
 本書ではこれら日進月歩の大動脈手術の「コツ」と陥りやすい「落とし穴」を診断から術後管理まで丁寧に解説,図説し,一流の心臓血管外科医のすぐ側にいる感覚で楽しく知識を吸収できるようにしたいと考えました.
 このような編集者の趣旨をお汲み取りいただき,読者の皆様に患者の治療の際にすぐ役立つ座右の書として利用していただければ幸甚です.
 先生方の益々の発展と大動脈外科の益々の発展を心から祈念しています.

2013年9月
髙本眞一

Ⅰ.大動脈外科の現況-世界に誇る本邦の大動脈外科-
II.大動脈と周辺組織の解剖のKnack & Pitfalls
 1.大動脈壁の解剖
 2.大動脈基部の解剖
 3.弓部大動脈の解剖
 4.下行大動脈,肋間動脈の解剖
 5.腹部大動脈の解剖
III.大動脈疾患診断のKnack & Pitfalls
 1.診断するために胸部X線写真で何をみて,そしてどう対応するか
 2.診断するために血管造影像で何をみて,どう対応するか
 3.診断するためにCTで何をみて,そしてどう対応するか
 4.診断するためにCT,MRIで何をみて,そしてどう対応するか-Adamkiewicz動脈の描出について-
 5.診断するためにエコー検査で何をみて,そしてどう対応するか
 6.緊急手術のときの診断-何を使うか-
 7.大動脈解離の偽腔血栓化の診断をどうするか
 8.遺伝性大動脈疾患の診断
IV.手術適応決定のKnack & Pitfalls
 1.疾患別からみた手術適応の決定
  a.胸部大動脈瘤-自然予後との関係-
  b.大動脈解離-自然予後との関係-
  c.Marfan症候群
  d.腹部大動脈瘤-自然予後との関係-
 2.身体機能検査からみた手術適応の決定
 3.年齢からみた手術適応の決定
Ⅴ.術前管理のKnack & Pitfalls
 1.術前検査
  a.手術のために心エコーをどう使い,活かすか
  b.手術のために頸部エコーをどう使い,活かすか
  c.手術のために呼吸機能をどうみるか
  d.手術のために冠動脈造影をどう使い,活かすか
 2.手術準備
  a.インフォームド・コンセント
  b.貯血
  c.腸管のpreparation
 3.糖尿病合併症例の術前管理
 4.腎不全合併症例の術前管理
 5.呼吸機能低下症例の術前管理
 6.DICの術前管理
VI.大動脈外科における人工心肺のKnack & Pitfalls
 1.超低体温・循環停止法
 2.選択的脳灌流法
 3.逆行性脳灌流法
 4.逆行性脳循環法と間歇的静脈圧増強逆行性脳灌流法
 5.部分体外循環法
 6.左心バイパス法
 7.送血箇所の決定
 8.体外循環中の温度管理
VII.大動脈外科手術における臓器保護のKnack & Pitfalls
 1.心筋保護
 2.脊髄保護
 3.腹部臓器保護
VIII.大動脈外科手術時の補助手段のKnack & Pitfalls
 1.麻酔
 2.術中エコー
 3.近赤外線モニター
 4.SEP,MEP
IX.大動脈外科手術のKnack & Pitfalls
 ⅰ.手術総論
 1.開胸法
 2.大動脈吻合法
 3.グラフトの選択
 ii.部位別手術(手術の概要と成績)
 1.大動脈基部の手術
  a.Bentall手術
  b.大動脈弁温存手術
  c.Yacoub手術
 2.上行大動脈の手術
 3.弓部大動脈の手術
  a.選択的脳灌流法
  b.逆行性脳灌流法
 4.遠位弓部大動脈の手術
  a.選択的脳灌流法
  b.逆行性脳循環法-左開胸による遠位弓部置換術-
 5.下行大動脈の手術
 6.全胸部大動脈置換術
 7.胸腹部大動脈瘤の手術
 8.腹部大動脈(傍腎動脈,腎動脈下)の手術
 9.extraanatomical bypass
 iii.疾患別手術
 1.急性大動脈解離
 2.偽腔血栓型大動脈解離の治療
 3.意識障害のある急性大動脈解離の治療
 4.同時冠動脈バイパス術
 5.感染性大動脈疾患の外科治療
  a.ホモグラフト
  b.人工血管
 6.炎症性大動脈疾患の手術
 7.再手術-アプローチをどう選ぶか-
Ⅹ.ステントグラフト治療のKnack & Pitfalls
 1.ステントグラフトの種類とその適応
 2.弓部大動脈のステントグラフト治療
 3.open stent療法
 4.胸部大動脈瘤に対するステントグラフト治療
 5.胸腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療
 6.腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療
 7.ステントグラフトが感染したらどうするか
 8.ステントグラフト治療の麻酔
XI.術後管理のKnack & Pitfalls
 1.手術直後の管理
 2.大動脈手術後の合併症対策
 3.術後の投薬と外来での管理
 4.ステントグラフト治療の術後管理