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子宮体癌の病理診断のスタンダードをめざした腫瘍病理鑑別診断アトラス!

腫瘍病理鑑別診断アトラス  

子宮体癌

カバー写真
  • 編集:森谷卓也(川崎医科大学病理学2)
  •     柳井広之(岡山大学病院病理診断科)
  • B5変型判・238頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2242-7
  • 2014年11月発行
定価 14,040 円 (本体 13,000円 + 税)
あり
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正誤表

内容

序文

主要目次

子宮体癌取扱い規約・第3版(2012)と,2014年に改訂されたWHOの新分類を踏まえ,類内膜腺癌(I型体癌),II型体癌,間葉系腫瘍,上皮・間葉性混合腫瘍,さらに他臓器からの転移,絨毛性疾患までを取り上げ,各腫瘍の病理学的な特徴を詳しく述べるとともに,診断の要点やピットフォールを示した.執筆陣に,婦人科腫瘍の診断に豊富な経験を持つ病理医,婦人科腫瘍学を専門とする産婦人科医を迎えた,臨床病理相関にも役立つ一冊.
☆図版10点,表組38点,カラー写真346点

序文

 子宮体癌の診療において,2012年4月に発刊された子宮体癌取扱い規約 第3版が広く用いられている.この規約は日本産科婦人科学会・日本病理学会・日本医学放射線科学会・日本放射線腫瘍学会の4学会が共同で作成したものである.組織分類は,2003年に改訂されたWHO分類を強く意識して改訂が加えられており,また進行期分類は2008年に開催されたFIGO(世界産婦人科連合)の委員会における議論を踏まえて策定されたものである.
 子宮内膜癌の大半は類内膜腺癌(Ⅰ型体癌)で,特に高分化腺癌の頻度が高い.しかし,遭遇頻度が高い病変でありながら,子宮内膜増殖症・異型増殖症や非癌・非増殖性病変との鑑別に苦慮する例が少なからず経験される.近年,より再現性の高い病理診断を実践するためにEIN(endometrial intraepithelial neoplasia)が紹介され,新しい診断体系確立の試みがなされており,その概念と診断法についても,習熟しておくことが望ましいと思われる.また,頻度は少ないが,いわゆるII型体癌は悪性度が高く,予後も不良であるため,初期病変も含めて的確な組織型診断を行うことが強く求められている.筋層を主座とする間葉系腫瘍は,平滑筋腫瘍と子宮内膜間質腫瘍が主体である.病変の部位から内膜生検では診断がしにくく,摘出標本で病理診断が行われる.いずれも良性から悪性腫瘍までが含まれており,分化方向の特定と,悪性度判定の二つの事象を明らかにする必要がある.子宮体部にはほかに上皮・間葉性混合腫瘍や他臓器からの転移などの腫瘍もみられる.
また,絨毛性疾患も多くは子宮体部にみられるので,本書で取り上げた.
 本書では,執筆は婦人科腫瘍の診断に豊富な経験をもつ病理医にお願いした.各腫瘍の病理学的な特徴を詳しく述べるとともに,鑑別ポイントの項においては,特に知っておくべき診断の要点や,ピットフォールを示したので,実際の症例写真と併せてご覧いただきたい.また,最後に各腫瘍の疫学,治療や予後を含めた臨床的事項について,婦人科腫瘍学を専門とする産婦人科医にも執筆していただいたので,臨床病理相関にも役立つものと思われる.さらに,本書の編集中にWHO分類第4版が発刊になったため,適宜その内容を盛り込んで記載していただいた.
 本書を通じて,子宮体部腫瘍への理解が深まり,さらに病理診断の精度向上に寄与することができれば幸いである.

 平成26年11月
  森谷 卓也
  柳井 広之

第1部 検鏡前の確認事項
 I.子宮体癌組織分類の現状
  1.内膜癌および前駆病変
  2.間葉性(系)腫瘍
  3.上皮間葉性(系)混合腫瘍
  4.その他
 II.病理標本の取扱い方
  1.子宮内膜および腹水の細胞診
  2.子宮内膜生検
  3.絨毛性疾患や流産に際しての子宮内容物の掻爬材料
  4.筋腫核出材料
  5.子宮摘出手術材料
第2部 組織型と診断の実際
 Ⅰ.子宮内膜病変
  1.子宮内膜増殖症・子宮内膜異型増殖症
  2.類内膜腺癌・粘液性腺癌
  3.漿液性腺癌・明細胞腺癌
   1.漿液性腺癌
   2.serous endometrial intraepithelial carcinoma(SEIC)
   3.明細胞腺癌
  4.その他の子宮内膜癌
   1.扁平上皮癌
   2.移行上皮癌
   3.小細胞癌
   4.混合癌
   5.未分化癌および脱分化癌
   6.その他の稀な癌
  5.上皮性・間葉性(系)混合腫瘍
   1.良性上皮性・間葉性混合腫瘍
   2.悪性上皮性・間葉性混合腫瘍
 II.子宮間葉性(系)腫瘍
  1.子宮内膜間質腫瘍
   1.子宮内膜間質結節(ESN)
   2.低悪性度子宮内膜間質肉腫(ESS, low grade)
   3.高悪性度子宮内膜間質肉腫(ESS, high grade)
   4.未分化子宮内膜肉腫(UUS)
   5.鑑別のポイント
  2.平滑筋腫瘍
  3.その他の間葉性(系)腫瘍
   1.子宮内膜間質・平滑筋混合腫瘍
   2.PEComa
   3.アデノマトイド腫瘍
 III.絨毛性疾患
  1.正常妊娠の絨毛と栄養膜細胞
  2.胞状奇胎
  3.絨毛癌
  4.胎盤部トロホブラスト腫瘍(PSTT)
  5.類上皮性トロホブラスト腫瘍(ETT)
 IV.転移性腫瘍・その他の腫瘍・腫瘍類似病変
  1.転移性腫瘍・二次性腫瘍
  2.その他の二次性腫瘍
  3.その他の腫瘍
  4.腫瘍類似病変
第3部 鑑別ポイント
 1.内膜生検・掻爬標本の観察の仕方
  1.予め知っておくとよい臨床情報
  2.検体の適正・不適正について
  3.生検や掻爬検体におけるアーチファクト
  4.採取法による組織診断の精度
  5.子宮内膜生検・掻爬材料の診断手順:概要
 2.子宮内膜増殖症vs 非増殖症・非癌病変
  1.子宮内膜増殖症と正常内膜との鑑別
  2.子宮内膜増殖症と内膜ポリープとの鑑別
  3.子宮内膜増殖症と不規則増殖内膜の鑑別
 3.子宮内膜病変における核異型の判定
  1.増殖症における核異型:子宮内膜増殖症と子宮内膜異型増殖症の鑑別
  2.類内膜腺癌における核異型
  3.漿液性腺癌における核異型
  4.ポリープ状異型腺筋腫における核異型
 4.Endometrioid intraepithelial neoplasia(EIN)の判定法
 5.子宮内膜における化生の評価
  1.扁平上皮化生⊘分化(桑実様化生)
  2.線毛上皮化生(卵管化生)
  3.粘液(上皮・細胞)性化生
  4.好酸性化生(好酸性変化)
  5.鋲釘状化生
  6.分泌性化生(分泌性変化)
  7.表層合胞状化生(表層合胞状変化)
  8.乳頭状化生(乳頭状変化,乳頭状増生)
  9.Arias-Stella現象
  10.混合性細胞変化
 6.子宮内膜癌における浸潤のとらえ方
  1.内膜間質への浸潤
  2.筋層への浸潤
  3.頸部間質への浸潤
 7.Ⅰ型子宮体癌とⅡ型子宮体癌の鑑別
 8.平滑筋腫瘍の悪性度評価
 9.子宮体部腫瘍における免疫組織化学の有用性
   ─間葉性(系)腫瘍の鑑別を中心に─
第4部 臨床との連携
 Ⅰ.子宮体部腫瘍の疫学
  1.子宮体癌
  2.子宮肉腫
  3.絨毛性疾患
 II.子宮内膜腫瘍の進行期と治療方針・予後
  1.子宮内膜癌と癌肉腫の進行期分類
  2.治療方針・予後
 III.子宮間葉性(系)腫瘍・絨毛性疾患の治療および予後
  1.子宮間葉性腫瘍
  2.絨毛性疾患
 IV.子宮体部腫瘍の経過観察と治療効果の判定
  1.子宮内膜増殖症の管理
  2.妊孕性温存療法の実際
  3.妊孕性温存療法の適応決定の際の問題点
  4.効果判定の時期
  5.プロゲスチン投与による組織像の変化
  6.寛解後の経過観察
  7.再発癌の取扱い
 V.病理診断報告書の記載
  1.FIGO 2008 cancer of endometrium
  2.報告書の記載事項
索引