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内科研修に必携!病棟,外来ですぐ役立つ実践的マニュアル

内科レジデント実践マニュアル第10版

経時的流れに応じた適切な治療

カバー写真
  • 編集:三井記念病院内科
  • B6変型判・500頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-2032-4
  • 2015年3月発行
定価 4,104 円 (本体 3,800円 + 税)
あり
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内容

序文

主要目次

ロングセラーの内科研修マニュアルの3年ぶりとなる改訂版.三井記念病院内科が総力をあげて編集・執筆した,レジデントのための珠玉の1冊.「針刺し時の対応」,「お役立ちサイト集」などの新しい項目を設け,全体的に最新情報を加えてさらに使いやすく,読みやすい内容となった.いつも手元に置いて,日常の診療に役立てていただきたい.

●第10版発行に際して

 本マニュアルも第10版を出すこととなった.発展途上の臨床医が手元に置いて役立つマニュアルを目指してきたが,至らぬ点があればご指摘をいただき,今後も改善していきたい.
■内科研修の新しい考え方
 内科専門医制度の見直しが行われ,2015年以降の卒業生を対象に従来3年間の研修で取得できた認定内科医の制度をなくし,初期研修2年ののち,「専攻医」としての後期研修を3年間行った後に新「内科専門医」の受験資格が得られるというように改められることになった.この改革は従来の制度で内科のなかでも各専門領域の研修が重視される傾向が進み,1)subspecialityが重視されて,全人的・臓器横断的な視点で診断・治療を行う基本的診療能力の体得が十分できていない,さらに2)地域医療・救急医療でのニーズに応える総合内科的視点から診断治療を行えるgeneralistの育成ができていない,という反省からなされた.
 病院での急患の診療という状況を例に挙げれば,強い胸痛を訴える患者が来院したときは,① 消化性潰瘍や胆石症の可能性を忘れずその病歴を聴く,潰瘍穿孔や急性胆囊炎の理学的所見をとる,② 緊急性のある4つの病態―急性心筋梗塞,急性大動脈解離,肺血栓塞栓症,緊張性気胸―を念頭に置いて,可能性の低い病態を素早く否定したうえで大事な診断的検査を実施し,指導医に相談して必要な治療を開始する,ということができなければならない.そうしなければ救えない患者がいるということである.そのような能力は,指導医がいる環境のなかで,実際にsubspecialityに限定されない幅広い症例を経験することによってしか身につかない.医師として踏み出し始めた研修医たちに,「これが王道であって回り道ではない」ということに気づいていただきたいと強く願う.
 皆さん,“できる内科臨床医”を目指そう.日本にはもっともっとたくさんの“できる”医師が必要なのである.
■患者との信頼関係を大事にしよう
 最近,医療者と患者・家族との関係において難しい問題が起こることが多くなっている.疾患とその治療,病院での医療についての多くの情報(しばしば一面的である)がメディアでもネットでも氾濫しており,一般の方々も,患者・家族ならなおさら,それらを注目して見ている.すると当然のことだが,「この先生のいうことはテレビでいっていたのと違う」「もっと進んだ診断法をやるべきではないか?」「先生が勧める治療よりあっちの治療のほうがよいのではないか?」といった思いが患者・家族側に生じる.これはきわめて自然なことだと受け止めねばならない.
 ますます丁寧でわかりやすい説明が必要になってくる.指導医も含め若い臨床医はきわめて多忙で時間が足りない.しかしきちんと説明する努力をしないと患者・家族の信頼が得られにくくなっている.卒業したての若い医師は今まで深刻な診断と治療について,自身の責任で他人に説明した経験などは全くない.指導を受け学ぶ必要がある.これは病院と各診療科,指導医の責任である.
 しかし明日からでもできることがある.患者からの不満としてよくいわれることがあるので銘記しておこう.
 1)医師はコンピューターの画面だけ見て私のほうを見ない
 2)苦虫をかみつぶしたような顔をして笑顔がない.私を診るのが嫌なのか?
 3)私のほうが二回りも年上なのにため口をきく
 4)説明の中に素人ではわからない難しい言葉が多く,そのことに気づいていない
 5)私が何かを尋ねようとすると途中で話を遮って「終わり」にする
 皆さんはどう思いますか? 皆さんはやりがいがあるが難しい,難しいがやりがいがある仕事を選んだのです.めげずに丁寧に仕事をするプロを目指してください.
■レジデントの十戒
 ここで11年前に書いた「十戒」を再掲します.11年前も今も「戒め」は同じです.
 1.時間を守る
 出勤時間,検査の開始時間,カンファレンスの開始時間,患者・家族との面談の約束時間.「2分前」に着くこと.君は,遅れることにより他人の時間を奪っている.
 2.約束を守る
 指導医との約束(「オーダーしておきます」「結果がわかったら連絡します」),紹介状・返事(3分,あるいは当日),診断書(当日~遅くとも4~5日),レセプト(当月提出),入院サマリー(当日~どんなに遅くても次回外来まで).
 3.受け持ち患者は1日に2回は診察する
 落ち着いている患者でも1回5分以上.前半は,患者の言葉を聴く時間に使う.会話をしながら目と耳でバイタル・サインのチェックをすること.診察したほうがよいかもと少しでも感じたら,必ず身体診察をすること.重症の患者については,SOAPのすべてを必要なだけ何回でも.変化を感じ取るために自分の五感のすべてを用いること.看護師が君を呼ぶときは重大なことが起こりかけている可能性が高い.電話だけで済ませず,必ずベッドサイドに行くこと.
 4.カルテは毎日,読める日本語で書く
 SOAP形式で.略語は極力使わない.簡単すぎる記述は不適当.「変化なし」「良好」では,無内容.検査結果を写すだけでは,無内容.「どういう異常があり,どう考えられるか」を書くこと.記述が長すぎて内容把握に時間がかかるのは,不適当.週に1回,簡潔なサマリーを書こう.カルテは公式記録であり,医療従事者,患者の共有情報であるという原則を忘れない.カルテは事実に反して書き換えてはならない.
 5.わからないことは誰にでも聞く(聞かねばならない)
 診療を確信なく行うことは許されない.君だけが問題点をつかんでいるということがよくあるが,相談して初めて検討が始まる.君の「不安」は患者管理の「不安」であり,それは生命に関わる.指導医は相談するレジデントを信頼する.
 6.基本方針は指導医と協議し,指導を受けて,同意により決定する
 基本的な診療(検査計画,治療方針,患者・家族への説明)を独断で行ってはならない.必ず,指導医や上級医に相談し,指導を受けたうえで行うこと.
 7.問題点について,文献を検索して学ぶ.重要なテーマについて,計画的に学習する
 EBMが要求されている.代表的な成書を読み,最新の研究結果の検索を日常的に行うこと.水・電解質管理,感染症の治療,胸部X線読影などの重要な領域についてまとまった知識を身につけるため,定評ある本を完読して学ぶこと.
 8.医療の目的を個々の患者について明確化する
 一人一人,1回の入院ごとに目的は異なる.外来担当医から話を聴き,診療記録をすべて確認し,患者の状況,要望を会話の中からつかみ,医療の目的を具体的に明確化しよう.
 9.患者の自己決定権を尊重し,正確な,「元気の出る」説明をする
 嘘をつかず,事実だけを述べること.しかし,患者(家族)の希望を奪い,暗い気持ちにさせる説明は不適切.事実がどうであれ,希望は残っており,生きる意欲を持つことは可能.主治医が確信を持たないと,そのような説明は難しい.
 10. 様々な職種の職員と交流・協力し,チーム医療を推進する
 医療は,医師だけでできるものではない.他の職種の仕事への理解・尊重,そして協力をして,診療の水準を上げていく努力が,医療従事者すべてに求められている.
■最後に〜とても大事なこと
・ 健康に気をつけて,どこにいてもきちんと食事をし,できるだけ十分な睡眠をとろう.
・ 病院や上級医の理解を得ながら,オフの時間を確保して体と頭脳をリフレッシュさせて,きびしい研修生活を元気に楽しく過ごそう.
・ 病院や医学・医療から離れた友人・趣味を持ち,人間の幅を広げ,人生を楽しもう.
・ 世の中の出来事に関心を持ち,新聞を読み,読書をし,誰とでも話ができる,教養ある社会人になろう.
Good luck!

2015年3月
三井記念病院副院長 田川一海

●第10版に際して
病棟医の心得
1 心肺蘇生法(CPR)
2 ショック,SIRS(敗血症),アレルギー
 I.ショック
 II.SIRS(敗血症)
 III.アレルギー
3 胸痛,呼吸困難,腹痛
 I.胸痛
 II.呼吸困難
 III.腹痛
4 意識障害・意識の変容
 I.意識障害
 II.せん妄
 III.アルコール多飲者が入院した場合の注意点
5 頭痛
6 けいれん,てんかん
 I.けいれん[発作]
 II.てんかん
7 めまい
8 貧血,出血傾向,DIC
 I.貧血
 II.出血傾向
 III.DIC
9 急性冠症候群(ACS)
 I.診断,状態の把握,初期緊急処置
 II.初期治療
 III.合併症
 IV.リハビリテーション
 V.二次予防
10 心不全
 I.診断の手順
 II.急性期治療
 III.慢性期への移行
 IV.非薬物治療
 V.退院時の注意:患者指導
11 不整脈
12 急性大動脈解離
13 高血圧緊急症
14 感染性心内膜炎(IE)
15 急性肺血栓塞栓症(PTE)
16 術前の循環器評価
17 呼吸不全,気胸
 I.呼吸不全
 II.気胸
18 気管支喘息
19 肺炎
20 消化管出血
 I.消化管出血の一般的対応:診察〜初期治療
 II.上部消化管出血
 III.下部消化管出血
 IV.上下部内視鏡で出血源が不明なとき
 V.内視鏡検査に伴う消化管出血
21急性腹症,胆・膵疾患
 I.急性腹症
 II.胆・膵疾患
22 肝不全
 I.急性肝不全の概要
 II.劇症肝炎,急性肝炎重症型
 III.ショック肝
 IV.慢性肝不全
 V.肝障害患者に対する薬物の使い方
23 脳血管障害
 I.一過性脳虚血発作(TIA)
 II.脳梗塞,脳出血
24 髄膜炎
25 糖尿病
26 内分泌緊急症
 I.副腎クリーゼ(急性副腎不全)
 II.甲状腺クリーゼ(Basedowクリーゼ)
 III.粘液水腫昏睡
27 膠原病・リウマチ患者の初期対応
28 急性腎障害・慢性腎臓病と透析療法
 I.急性腎障害(AKI)
 II.造影剤腎症
 III.慢性腎臓病と透析療法
 IV.腎不全患者に対する薬物の使い方
29 電解質異常・酸塩基平衡異常
 I.Kの異常
 II.Naの異常
 III.Caの異常
 IV.Pの異常
 V.Mgの異常
 VI.酸塩基平衡の異常
30 食事療法,経腸栄養
 I.食事療法
 II.経腸栄養
31 輸液療法
 I.輸液療法の概要
 II.中心静脈栄養(TPN)
 III.維持透析患者の輸液療法
32 輸血療法
33 がん化学療法と緩和支持療法
 I.がん化学療法
 II.緩和支持療法
34 医療行為に伴う合併症とその対策
35 NOTE
 1 血液型判定
 2 交差適合試験(生理食塩水→ブロメリン法)
 3 針刺し事故の対応
 4 心電図の記録法
 5 経胸壁心エコーの計測基準値と基本的操作法
 6 腹部エコーの基本的操作法
 7 眼底所見の分類
 8 主な診療ガイドライン
 9 お役立ちサイト集
●索引