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C型肝炎の現在(いま)と未来がわかる!

Hepatology Practice  3

C型肝炎の診療を極める

基本から最前線まで

カバー写真
  • ゲスト編集:榎本信幸(山梨大学教授)
  • 常任編集:竹原徹郎(大阪大学教授)
  •       持田 智(埼玉医科大学教授)
  • B5判・332頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-1892-5
  • 2014年5月発行
定価 10,800 円 (本体 10,000円 + 税)
あり
在庫

内容

序文

主要目次

C型肝炎診療の進歩は目覚ましく,毎年のように新しい治療薬が登場し,検査法の発達も著しい.本書は,国内のトップクラスの研究者や臨床家の執筆により,C型肝炎診療を最新の基礎研究と臨床の最先端の両面から深く掘り下げ,C型肝炎の診療や研究の現在と将来像までを見通せる内容としている.C型肝炎診療に携わる臨床医には必携の一冊.
☆図版178点,表組45点,モノクロ写真13点

【Hepatology Practiceシリーズの概要】
10年後の肝臓病学を見据えて刊行した全5巻のシリーズ.消化器病学を学ぶ若手の医師,研究者が,肝臓病診療の現況とともに,その基盤となる研究成果から将来の展望まで見渡せるよう,ディベート,フロンティア,レクチャーなど様々な切り口から解説した.肝臓病の診療・研究の現状・展望を理解するのに必携のテキスト.

序 文

 「C型肝炎は解決? いえ,これからが大きな問題です」
 ○○○ビルという強力なDAA(direct acting antiviral agent)が次々に実用化され,これまでのインターフェロン治療が不能,あるいは不応の症例にも高い効果が期待されることから,C型肝炎のウイルス排除率はいよいよ100%に近づきつつあります.一部には「C型肝炎は解決済み」という雰囲気すら生まれつつありますがはたしてどうでしょうか?
 確かに慢性肝炎であればDAAにより非常に高い確率でHCV排除が得られることは間違いありません.しかし,短期的には薬物耐性変異の問題があり,これをいかに回避しつつ治療を行うかが非常に大きな問題となります.不適切な治療は多剤耐性変異HCVを出現させ,これをレスキューする治療法が開発されるまで治療が大幅に遅れる可能性すらあることから,個々の患者での治療の時期,使い分けがこれまでになく重要となる時代がやってきます.副作用の少ない経口薬の登場により非専門医でもC型肝炎治療が可能となるといわれていますが,むしろ確実な治療のためにはこれまで以上に専門医の役割が大きくなると考えられます.
 長期的には慢性肝炎段階ですべての患者のHCVを排除すれば,遠い将来にはHCVによる肝硬変,肝癌は減少するでしょう.しかし,慢性肝炎から肝硬変・肝癌への進展が20〜30年であることを考えれば,減少までにその程度の期間がかかることが予想されます.慢性肝炎段階のHCVをいくら排除しても肝硬変・肝癌患者数はすぐには減少しないのです.
 さらに,がん登録の結果から推定すると,年間約3万人のC 型肝炎からの肝癌が発症しております.肝癌発症後の平均生存を5〜6年と考えても,肝癌を担癌したまま治療を続けている患者数は15万人以上となります.また,C型肝硬変からの年間発癌率を5%とすれば3万人の発癌は60万人の肝硬変患者から生じていると推定されます.すなわち,現在国内には70〜80万人の肝硬変・肝癌まで進行したC型肝炎患者が存在しているのです.これらの患者のHCV排除がDAAでどこまで可能か,DAAによるHCV排除で肝病変の改善,発癌率の低下,再発率の低下,予後の改善は得られるのか?これまでHCV排除が不可能であった患者でもHCV排除が可能となった場合にこれらの「元」C型肝炎がどのような病態を呈するのかは全く未知の問題であり,いわゆる「HCV排除後の発癌」が爆発的に増加する恐れすらあります.HCV排除は「C型肝炎の治癒」ではないことを改めて認識する必要があります.
 本書は「C型肝炎の診療を極める」という野心的なコンセプトで企画されております.これからの10年間,C型肝炎診療および研究は未曽有の未体験ゾーンに突入します.今必要なことは,C型肝炎診療に携わるものが「C型肝炎は内服薬で誰でも簡単に治せる時代になる」と安易に考えるのではなく,これまでのC 型肝炎に関する研究・経験・知識・技術を「極め」,これらを総動員して診療にあたることです.そのための出発点として本書が役立つことを期待しております.

平成26年4月
榎本信幸

Ⅰ.基本編 ~C型肝炎を診る前の基礎知識~
 1.HCV遺伝子の構造
 2.HCV複製機構
 3.HCV感染の疫学・感染経路
 4.C型肝炎の自然経過
 Lecture C型肝炎ウイルス発見・研究の歴史
II.診断編
 1.C型肝炎診断の基本(病態,予後,治療)
 2.ウイルス遺伝子診断
  A.HCVコアアミノ酸置換の臨床的有用性
  B.NS5A
 3.宿主遺伝子診断
  A.IL28B
  B.ITPA
 4.病理診断
 5.線維化診断
  A.エラストグラフィ
  B.MRE
  C.血清線維化マーカー
 6.発癌リスク評価
  A.サーベイランス・腫瘍マーカー
  B.線維化・脂肪化評価
  C.インターフェロン治療後発癌
 7.生活習慣病とC型肝炎
 8.ALT正常C型肝炎
 9.データマイニングによる予後・治療反応予測
 Lecture C型肝炎の肝外病変
III.治療編
 1.C型肝炎の治療目標
 2.C型急性肝炎
 3.C型慢性肝炎・肝硬変の抗ウイルス治療方針
 4.肝移植と抗HCV治療
 5.インターフェロン治療
  A.type Ⅰインターフェロン
  B.type IIIインターフェロン
 6.プロテアーゼ阻害薬治療
  A.テラプレビル
  B.シメプレビル
 7.NS 5 A阻害薬
 8.DAA耐性変異
 9.肝庇護療法・瀉血
 10.食事・栄養療法
 Frontier C型肝炎治療薬開発動向
 Debate 自己免疫性肝炎を合併したC型肝炎〜診断と治療のポイント〜
 Debate 脾摘・PSE併用IFN療法
IV.C型肝炎を理解するための最前線研究のトピックス
 1.病変進展・発癌のGWAS
 2.small RNA
 3.自然免疫
 4.獲得免疫(樹状細胞)
 5.ビタミンD
 6.ISGs
 7.C型肝炎により肝細胞に生じる遺伝子異常と肝発癌
 8.脂質代謝
 9.糖代謝
 10.鉄代謝
 11.亜鉛代謝
 12.酸化ストレス
 13.アポトーシス
 14.オートファジー
 15.肝線維化
付録
 肝炎対策
 C型肝炎診療で用いられる治療薬一覧