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乳癌の病理診断のスタンダードをめざした腫瘍病理鑑別診断アトラス!

腫瘍病理鑑別診断アトラス  

乳癌第2版

カバー写真
  • 編集:森谷卓也(川崎医科大学教授)
  •     津田 均(防衛医科大学校教授)
  • B5変型判・302頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2250-2
  • 2016年5月発行
定価 17,280 円 (本体 16,000円 + 税)
あり
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正誤表

内容

序文

主要目次

好評の「乳癌」待望の第2版.本改訂では, WHO分類第4版と日本の取扱い規約の組織型分類という,異なる分類法を適切に置き換えて利用できるための解説に力を注いだ.また,免疫組織化学の適切な利用法など,現場で役立つ最適な診断方法の実際を提供するほか,内因性サブタイプ分類とその病理判定,細胞診・針生検の報告様式,治療効果判定やセンチネルリンパ節生検法を含め,乳腺疾患に対する日常診断全体を俯瞰できる一冊とした.

序文

 「腫瘍病理鑑別診断アトラス 乳癌」は2010年6月に初版が発刊された.この書籍は,日本乳癌学会が編集する「臨床・病理 乳癌取扱い規約(第16版)」に準拠した組織型分類と,国内外で編纂された乳癌診療に関するガイドラインなどに記載されている臨床病理学的な取扱いに基づいて編纂された.豊富なカラー写真と,最先端の知識も含めたきめ細かな解説がなされており,乳腺疾患の病理診断にとって欠かせない,極めて実用的かつ有用であり,今もその価値に変わりはない.
 しかし,乳腺病理を取り巻く環境はこの6年間で更に大きく変化した.その一つはWHOの腫瘍分類第4版である「WHO Classification of Tumours of the Breast」が2012年6月に改訂されたことが挙げられる.腫瘍分類の考え方が日本の取扱い規約とは異なる部分や,取扱い規約には記載がない組織型もあり,それらの差の部分について整理し,2つの分類に互換性を持たせる必要がある.二つ目には,コンパニオン診断がますます重要性を増してきた点である.薬物療法の選択や予後推定にバイオマーカーの検索が必須となっており,取扱い規約の記載にも導入された.また,最近ではKi-67ラベリングインデックスの判定が必要とされるようになった.第三に,多重遺伝子診断が注目を浴び,遺伝性乳癌の研究も進捗が見られた.今後は遺伝子レベルから乳癌の発生や進展を捉える動きがますます加速すると期待されている.
 以上のような時代の流れも鑑み,本書第2版では,第2部「組織型と診断の実際」の構成を前版から変更し,WHO分類も意識した項目立てとした.組織型分類にはそれぞれコンセプトがあり,方針に従って組み立てられているので,異なる分類法の善し悪しを述べることが目的ではなく,ダブルスタンダードになって混乱することがないよう,両者を適切に置き換えて利用できるような解説を心がけた.第3部「鑑別ポイント」では,免疫組織化学の適切な利用法など,現状における最適な診断方法の実際を提供した.さらに,第4部「臨床との連携」では,内因性サブタイプ分類とその病理判定,細胞診・針生検の報告様式,治療効果判定やセンチネルリンパ節生検法が定着してきたので,それらを含めて乳腺疾患に対する日常診断全体を俯瞰できるように工夫した.
 執筆は,現在,乳腺の病理診断に積極的に取り組んでおられる方々に分担をお願いした.本書がこれまでにない新たな切り口の解説書として,多くの方々に利用していただけることを願ってやまない.

平成28年5月
森谷 卓也
津田 均

第1部 検鏡前の確認事項
I.乳腺腫瘍の組織型分類
 1.乳癌取扱い規約分類の概要
 2.WHO分類 第4版(2012年)の組織分類
II.検体の取扱い方
 1.手術材料の固定
 2.手術材料の切り出し
第2部 組織型と診断の実際
I.良性上皮性病変
 1.通常型乳管過形成(乳管乳頭腫症)
 2.腺症
 3.乳管内乳頭腫
 4.腺腫
 5.腺筋上皮腫
II.境界悪性病変・リスク病変
 1.異型乳管過形成
 2.平坦型異型
 3.小葉性腫瘍
III.非浸潤性乳管癌
IV.微小浸潤癌
V.浸潤性乳管癌,通常型
 1.乳頭腺管癌
 2.充実腺管癌
 3.硬癌
VI.特殊型乳癌
 1.粘液癌
 2.髄様癌
 3.浸潤性小葉癌
 4.腺様囊胞癌
 5.アポクリン癌
 6.(いわゆる)化生癌
 7.管状癌
 8.神経内分泌癌
 9.浸潤性微小乳頭癌
 10.その他の特殊型乳癌
  1.分泌癌
  2.腺房細胞癌
  3.oncocytic carcinoma
  4.脂腺癌
  5.glycogen-rich clear cell carcinoma(GRCC)
  6.lipid-rich carcinoma
  7.炎症性乳癌
VII.間葉系腫瘍
 1.結節性筋膜炎(NF)
 2.血管系腫瘍
 3.偽血管腫様間質過形成(PASH)
 4.筋線維芽細胞腫
 5.デスモイド型線維腫症
 6.顆粒細胞腫(GCT)
 7.平滑筋腫・平滑筋肉腫
 8.その他
VIII.結合織性および上皮性混合腫瘍  
 1.線維腺腫
 2.葉状腫瘍
IX.乳頭部に生じる腫瘍
 1.乳頭部腺腫
 2.Paget病
X.乳腺の悪性リンパ腫・造血器腫瘍
XI.男性乳腺疾患
XII.その他の腫瘍様病変
 1.乳管拡張症
 2.肉芽腫性乳腺炎
 3.過誤腫
 4.乳腺線維症
 5.副乳
第3部 鑑別ポイント
I.乳管内病変の良悪性鑑別
II.乳頭状構造を示す癌とその鑑別
III.平坦型病変の良悪性鑑別
IV.アポクリン化生性病変の良悪性鑑別
V.粘液産生性病変の良悪性鑑別
VI.硬化性病変の良悪性鑑別
VII.転移・再発乳癌の病理診断とその鑑別
第4部 臨床との連携
I.遺伝性乳癌
II.乳癌の内因性サブタイプ・多重遺伝子診断
 1.内因性サブタイプ分類
 2.免疫組織化学による代替サブタイプ
 3.トリプルネガティブ乳癌の分類
 4.多重遺伝子診断
III.乳癌の悪性度評価
IV.バイオマーカー検索
 1.ホルモン受容体とHER2の病理学的判定
 2.Ki-67の判定
V.画像との対比
VI.乳癌のTNM分類と病理診断
 1.乳癌TNM分類
 2.センチネルリンパ節生検(SLNB)
VII.術中迅速病理診断
VIII.病理学的治療効果判定
IX.細胞診・針生検の報告様式
X.手術標本における病理報告書の記載法
索引