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NASH・NAFLD診療の最新スタンダード,待望の最新版!

NASH・NAFLDの診療ガイド2015

カバー写真
  • 編集:日本肝臓学会
  • B5判・64頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-1888-8
  • 2015年9月発行
定価 1,512 円 (本体 1,400円 + 税)
あり
在庫

内容

序文

主要目次

わが国において増加の一途を辿っている非アルコール性脂肪肝炎(NASH)とその基盤である非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に対する理解を一般臨床医に広め,共通の基盤のもとに診療を行うために日本肝臓学会が編集したガイドブックの最新版.定義,疫学,病因・病態,予後,検査所見,病理,治療について,エビデンス・レベルは十分でないが肝臓病専門医の間では一般化している診療行為も含めて,最新の情報を簡潔に記載.特に病理所見については評価基準を明確にし,アトラス形式でわかりやすく提示している.
☆図版25点,表組2点

序 文

 30年前には大きな問題とは捉えられていなかったNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患),NASH(非アルコール性脂肪肝炎)が,次第に我が国においても重要性を増してきている.脂肪肝をもつ日本人は成人男性では30%を超えている.NASHは進行性の肝疾患であり,肝硬変への進展,肝細胞癌(肝癌)の合併等による肝臓死を引き起こすところに最大の問題がある.
 我が国におけるNASHの実態については,まだ明らかでない点が多い.その理由の一つとしては,確定診断は肝組織診断によること,組織診断の読みが病理医の間でも差があること,肝硬変や肝癌発生時にはいわゆる“burn out NASH”となり肝脂肪化の消失も多いこと,などのためNASHの診断が正しくついていないことが挙げられる.先ず,NASH患者を皆が正しく診断することが必須ということで,日本肝臓学会では「NASH診断ワーキンググループ」を組織して,NASH診断用のアトラスを作成した. 肝臓学会員による,この様な試みを経て,我が国に適した「NASH・NAFLD診療ガイド」の作成を進めてきたところである.
 肝癌の診療も大きく変わってきている.我が国の肝癌の最近の動向としては,①肝癌による年間死亡数は2005年をピークとして減少に転じている,②肝癌発生数は2010年頃から減少に転じている,③C型肝炎に関連する肝癌は相対的に減少し,非B非C型肝癌が比率, 絶対数ともに増加してきている,などが主なポイントである.③については,NASHに関連した非B非C型肝癌が注目される.ただ,肥満も飲酒もそこそこの男性での非B非C型肝癌も多数を占めることにも注意が必要であり,これらの患者でのNASH・NAFLDの可能性についても追求が必須である.
 NASHに代表される様に,「肝臓と代謝の相互作用」は今後の日本肝臓学会にとって中心的なテーマである.代謝の中でも,糖代謝,脂質代謝は,NAFLD・NASHやC型肝炎に見られるごとく, 肝疾患においても本質的な問題として捉えるべきものである. 本ガイドを参考として,NAFLD・NASHの病態解明,治療の開発が進んで行くことを期待する.

2015年7月
一般社団法人日本肝臓学会理事長
東京大学大学院医学系研究科消化器内科学
小池和彦

第1章 NAFLDの定義と分類
 1.はじめに
 2.歴史的変遷
  1 1950~60年代
  2 1970年代
  3 1980年代
  4 1990年代
  5 2000年代
 3.定 義
第2章 NAFLDの疫学
 1.わが国における肥満の現状
 2.健診における肥満の現状
 3.健診における脂肪肝の現状
 4.健診におけるNAFLDの現状
第3章 NAFLDの病因・病態
 1.NAFLDの基本的病態
  1 肥満
   メタボリックシンドローム
   アディポサイトカイン
  2 インスリン抵抗性
 2.NAFLDの発症機序
  1 遺伝的素因
   1)PNPLA3
   2)その他の遺伝子多型
  2 脂肪肝形成にかかわる脂質代謝
   1)脂肪酸および中性脂肪合成系
    AMP-activated protein kinase(AMPK)
   2)肝細胞での脂肪酸酸化
   3)肝細胞からの中性脂肪の血中放出
  3 脂肪肝に伴う肝細胞障害の機序
   1)酸化ストレス
    活性酸素種(ROS)とROS消去系
   (1)ミトコンドリアの異常
   (2) マイクロソームおよびペルオキシゾームの関与
   (3)類洞壁細胞からのROS産生
   2)小胞体(ER)ストレス
   3)オートファジー
   4)脂肪毒性
   5)腸内細菌叢の変化と自然免疫系
第4章 NAFLDの予後
 1.はじめに
 2.NAFLDの予後
 3.非アルコール性脂肪肝(NAFL)の予後
 4.NASHの予後
 5.NASH肝硬変
 6.NASH肝細胞癌の特徴
第5章 NAFLDの血液検査所見
 1.NAFLDのスクリーニング診断
  1 画像/肝生検
  2 他の慢性肝疾患の除外
  3 飲酒歴/肥満など問診上重要な事項
 2.NAFLDにおける血液検査所見
  1 一般生化学検査
   1)肝機能検査
   2)その他
  2 病態に関連した血液検査マーカー
    アディポネクチン
    サイトケラチン18(CK18)断片
  3.NASH>NAFLを疑う血液検査所見とは
第6章 NAFLDの病理所見
 1.はじめに
 2.病理所見
  1 ballooningの評価
  2 マロリー・デンク体の評価
  3 脂肪化の評価
  4 線維化の評価
 3.所見の記載と総合評価
 4.参考資料
 5.まとめ
第7章 NAFLDの治療
 1.はじめに
 2.NAFLDの治療方針
 3.日常生活の指導
 4.薬物療法
  1 インスリン抵抗性改善薬
   1)チアゾリジン誘導体
   2)ビグアナイド薬(メトホルミン)
  2 抗酸化療法
   1)ビタミンE
   2)ベタイン
   3)瀉血療法
  3 脂質異常症治療薬
   1)エゼチミブ
   2)HMG-CoA 還元酵素阻害薬
  4 肝臓用薬
   1)ウルソデオキシコール酸
   2)強力ネオミノファーゲンシー
  5 その他
   1)アンジオテンシンII1型受容体拮抗薬
   2)obeticholic acid
 5.外科的治療
  1 腹腔鏡下スリーブ状胃切除, 腹腔鏡下
   胃バイパス術
  2 肝移植