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骨髄腫診療の決定版ガイドライン,最新改訂版!

多発性骨髄腫の診療指針第4版

カバー写真
  • 編集:日本骨髄腫学会
  • B5判・168頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-2040-9
  • 2016年9月発行
定価 3,456 円 (本体 3,200円 + 税)
あり
在庫

内容

序文

主要目次

比較的多い疾患であり,どこの病院でも経験される多発性骨髄腫について,定義,臨床所見,診断基準,治療,患者に対する情報提供および支援活動などを解説した診療指針.今回の第4版改訂の概要は以下の通りである.①第3版以降の骨髄腫に関する新たな知見を可能な限り網羅 ②IMWGの診断基準の改正や新規薬剤導入後の治療法の進歩を詳述 ③THAL・BOR・LEN以後の新たな新薬を概説 ④残存病変の評価,マクログロブリネミア,monoclonal gammopathy of renal significance (MGR)を増補 ⑤2013年に公表された「日本血液学会造血器腫瘍診療ガイドライン」との相補性と整合性

第4版への序言

 多発性骨髄腫の診療指針,第4版が上梓された. 本診療指針の第1版は2004(平成16)年6月に,第2版は2008(平成20)年11月に,第3版は2012(平成24)年9月に刊行され,多くの関係者に評価された.その結果,販売数は2016(平成24)年6月の時点で,第1版7,700部,第2版は6,840部,第3版は8,280部に達した.
 第1版では,それまで多くの基準が用いられていた多発性骨髄腫の診断基準として,2003年にInternational Myeloma Working Group(IMWG)が提唱した基準を推奨した.この後,IMWGの診断基準は国際的な標準として広まった.また,わが国の骨髄腫の臨床のエビデンスとして,日本骨髄腫研究会(当時)の関連施設1,380症例の臨床成績を提示し,このデータを含めIMWGにより提案されたアルブミン値とβ<sub>2</sub>ミクログロブリン値に基づくInternational Staging Systemを紹介した.治療に関しては,治療開始時期を明示し,65歳以下の初期治療では自家骨髄移植を伴う大量化学療法(HDT-ASCT)を第一選択として推奨し,わが国の保険診療で可能な薬剤による骨髄腫の標準的治療のアルゴリズムを提唱し,さらに補助療法の重要性を示した.
 第2版では,第1版以後の急速な骨髄腫研究の進歩に関する追加記述とともに,治療法について,推奨の程度とエビデンスレベルを明示した.また,当時,欧米では広く使われるようになっていたが,わが国では保険診療で初回治療薬としては認められなかった新規薬剤のサリドマイド(THAL),ボルテゾミブ(BOR),レナリドミド(LEN)に関する欧米の成績と投与法を詳述した.さらに,項目の冒頭に要点または推奨を示して内容をわかりやすくし,理解すべき用語は用語解説として明示した.
 第3版の編集方針は,1)第2版刊行以後さらに目覚ましく発展した骨髄腫診療の進歩を可能なかぎり網羅すること,2)新たに必須の検査となったfree light chain(FLC)などを理解しやすく詳述すること,3)新たにコラム欄を設けminimal residual disease,risk-adapted strategyや2次がんなどの最近のトピックスについて説明すること,4)最新の文献を引用すること,5)できるだけこの診療指針1冊で必要な内容がわかる自己完結を目指すこと,の5点であった.
 また,2012年での標準的治療アルゴリズムを提案し,POEMS症候群とALアミロイドーシスについては類縁疾患として分けて詳述した.
 今回の第4版の基本的な構成と記述様式は第3版と同じである.
編集方針と内容は,1)第3版以降の骨髄腫に関する新たな知見を可能なかぎり網羅する,2)IMWG の診断基準の改正や新規薬剤導入後の治療法の進歩を詳述する,3)THAL・BOR・LEN 以後の新たな新薬を概説する,4)残存病変の評価,マクログロブリネミア,monoclonal gammopathy of renal significance(MGR)を増補する,5)2013年に公表された「日本血液学会造血器腫瘍診療ガイドライン」との相補性と整合性を高めること,の5点である.また,巻末に,わが国の骨髄腫に関する臨床基本データとして,日本骨髄腫学会が2013年に行った2001〜2011年の骨髄腫学会関連施設の2,234例の臨床所見と成績を1990〜2000年までの1,380例のデータと比較し,まとめた.
 今回の指針で議論となったのは,IMWG2014診断基準改定で新たに多発性骨髄腫とされた,従来の(ウルトラ)ハイリスクsmoldering multiple myeloma(SMM)に対する治療開始時期の判断であった.編集委員の中にもいろいろな意見があり,3回のアンケートを実施するなど,編集委員間の討議を重ね第41回学術集会(於徳島)でも議論した.現時点でのとりまとめは指針に記したが,今後,エビデンスの蓄積によりこのまとめは見直される可能性がある.この点も含め,本指針の修正や訂正などは,適宜,日本骨髄腫学会のホームページに掲載する方針である.
 本書は,現時点での骨髄腫診療の最新の知見と考え方を客観的かつ論理的に整理して提示しているが,すべての臨床の場面を包含するものではない.それぞれの局面での判断は担当医に委ねられている.また,骨髄腫診療の進歩が急速な現代にあっては,臨床成績がエビデンスとなり指針に取り入れられるまでには時間を要するので,骨髄腫診療の進歩の情報には常に注意を払うことをお願いしたい.
 最後に,ご多忙の中,編集および執筆に携わっていただいた先生方のご努力に衷心より感謝の意を表します.また,文光堂の関係者の方々には刊行の目標時期に合わせるよう多大なご尽力をいただきました.紙面を借りて深謝します.
 本診療指針が,わが国の多発性骨髄腫の診療の質の向上に寄与するとともに多発性骨髄腫の患者さんのために役立つことを願って止まない.

平成28年8月
「多発性骨髄腫の診療指針,第4版」編集委員会

I 定義および疫学
 1 定  義
 2 疫  学
  1) 罹患率と疫学
  2) 診断時の年齢と性
  3) 多発性骨髄腫の死亡数と死亡率
II 臨床所見と初診時検査
 1 臨床所見
  1) 骨 痛
  2) 貧 血
  3) 腎障害
  4) 高カルシウム血症
  5) 易感染性
  6) 神経症状
  7) その他
 2 初診時検査
  1) 骨髄・末梢血検査
  2) 表面マーカー
  3) M蛋白
  4) 血清遊離軽鎖測定法serum free light chain assay(sFLC assay)
  5) 血液生化学
  6) 骨病変の画像検査
  7) 染色体・遺伝子
  [コラム]多段階発がん過程
III 診断基準と病期分類
 1 診断基準
  1) 多発性骨髄腫
  2) くすぶり型多発性骨髄腫
  3) 意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)
  4) 孤立性形質細胞腫
  5) POEMS症候群
  6) 全身性ALアミロイドーシス
 2 病期分類
IV 治 療
 1 治療開始時期
 2 治療効果判定
  [用語解説]多発性骨髄腫における微小残存病変minimal residual disease(MRD)
 3 多発性骨髄腫患者に対する治療アルゴリズム
  1) 移植適応のある初発多発性骨髄腫患者
  2) 移植非適応の初発多発性骨髄腫患者
  3) 再発・難治性骨髄腫患者
  [用語解説]Risk-adapted strategy
 4 初期治療
  1) 自家造血幹細胞移植を伴う大量化学療法適応患者
  2) 移植非適応症例に対する初期治療
  [用語解説]プラトー(plateau)
 5 維持療法
  1) THAL維持療法
  2) LEN維持療法
  3) BOR維持療法
  [コラム]LEN維持療法後の二次原発がん
 6 再発・治療抵抗性骨髄腫の治療
  1) 再発・進行後の治療再開の基準
  2) 再発・治療抵抗例における新規薬剤の有用性
  3) 新規薬剤の併用療法
  4) 再発・治療抵抗例における移植療法
  5) 再発・治療抵抗例における治療選択
 7 高齢者に対する治療
  1) 高齢者の治療の現状
  2) 高齢者のfrailty評価
  3) 高齢者に対する治療レジメン
 8 開発中の薬剤
  1) 新規のプロテアソーム阻害薬
  2) 多発性骨髄腫に対するMoAb
  3) その他の分子標的薬
 9 研究的治療−同種移植(ミニ移植を含む)
  1) 骨髄破壊的前処置による同種移植
  2) 用量減量前処置による同種移植
  3) タンデムHDT-ASCT/ミニ移植
  4) 同種移植後の新規薬剤
 10 放射線療法
  1) 疼痛緩和を目的とする場合
  2) 腫瘍の消失(縮小)を目的とする場合
 11 合併症に対する治療
  1) 骨病変
  [用語解説]ビスホスホネート関連顎骨壊死 bisphosphonate-related ONJ(BRONJ)
  2) 高カルシウム血症
  3) 貧 血
  4) 腎不全
  [コラム]Monoclonal gammopathy of renal significance(MGRS)
  5) 感染症
  6) 神経障害
  7) その他,過粘稠度症候群など
V 類縁疾患
 1 POEMS症候群(Crow-Fukase症候群,高月病)
  1) 所見と診断基準
  2) 治 療
 2 原発性アミロイドーシス
  1) 原因・分類
  2) 原発性アミロイドーシス
 3 原発性マクログロブリン血症
  1) 定義と病理像
  2) 疫 学
  3) 遺伝子変異
  4) 先行病態と治療開始基準
  5) 治療:血漿交換・化学療法
VI 患者に対する情報提供および支援活動
●文 献
●資料編
●索 引