TOPページへ

かかりつけ医と腎臓専門医との連携はどうする?

かかりつけ医のための

腎疾患診療ガイド

日常診療のエッセンスと専門医との連携ポイント

カバー写真
  • 著:富野康日己(順天堂大学腎臓内科学教授)
  • B5判・128頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-2031-7
  • 2015年2月発行
定価 3,456 円 (本体 3,200円 + 税)
あり
在庫

内容

序文

主要目次

かかりつけ医の元に腎疾患の疑われる患者がきたら,どこに着目し,どのタイミングで専門医に紹介するのか?本邦における腎臓内科の第一人者が,“かかりつけ医と専門医との連携”をキーワードに相互に共有すべきポイントをまとめた一冊.かかりつけ医が知らねばならない1)腎疾患を疑うポイント,2)専門医紹介のタイミング,3)専門医からかかりつけ医に逆紹介された場合の要点がわかる.さらに一歩進んだ読者に向けて最新の基礎・臨床のエッセンスも記載し,専門医にも読み応えのある内容である.
☆図版32点,表組18点,カラー写真12点,モノクロ写真26点

序 腎臓内科アプローチ 〜わが思いをこめて〜

 近年,各専門医とかかりつけ医との連携が求められているが,検診(健診)等で異常が発見された場合には,学校医や産業医を介してかかりつけ医に紹介されることが多い.かかりつけ医は,医学部卒業後に臨床研修をうけ,大学病院や中核病院で臨床診療・基礎研究をし,その後地域医療を担うべく尽力している臨床医である.現在のかかりつけ医は,各専門分野を背景にもった総合診療医であるが,すべてのかかりつけ医が,私が専門とする腎疾患の診断と治療に精通しているわけではない.逆にいえば,私は腎疾患以外は門外漢である.現在,新たに創設された日本専門医機構において総合的な診療能力を有する総合診療専門医について検討されており,基本領域の専門医資格の一つとして認定されると思われる.総合診療専門医に求められる主な能力として,1)患者中心・家庭志向の医療を提供する能力,2)包括的で継続的,かつ効率的な医療を提供する能力や,3)地域内での医療者との連携能力などがあげられている.つまり,総合診療専門医の特徴は,領域専門医が「深さ」を特徴としているのに対して「扱う問題の広さと多様性」であるとしている(総合診療専門医に関する委員会まとめ.2014年5月).
 これまでの総合診療医であるかかりつけ医と,今後新たに誕生する総合診療専門医が診察し,専門的な診断と治療が必要とされた患者は,専門医へ紹介される.専門医では,その求めに応じて診療を行い,適切な診断と予後判定・治療方針の決定を行い,かかりつけ医へ逆紹介されるシステムが推奨されている.これが,職務のすみ分けである.したがって,かかりつけ医と専門医との連携が必須であり,「腎疾患を疑ってみることと,そのポイント」「腎臓専門医への紹介の時期」「腎臓専門医が診療を行ったあとの,かかりつけ医への逆紹介と経過観察の要点」などについて,両者で意識を共有することが大切である.また,かかりつけ医には腎疾患の最新の進歩を理解していただくことも望まれる.
 今回,腎臓専門医に一層理解を深めてもらうことと,かかりつけ医には腎疾患の診療と腎臓専門医への紹介の要点,腎臓専門医での診療とかかりつけ医への逆紹介の条件等について,知っていただきたいとの想いから,「かかりつけ医のための腎疾患診療ガイド」を上梓した.病診連携を意識した診察と検査のみかた,日常診療でよく遭遇する症状・症候や代表的腎疾患からのアプローチ,腎疾患の基礎と臨床のエッセンスをわかりやすくコンパクトに記載した.
 本書は,かかりつけ医を中心に臨床研修医や臨床系大学院生・研究生の皆さんにも活用していただきたいと願っている.明日からの診療に活かしていただければ望外の喜びであるが,読者の皆さんのご意見やご叱正を願う次第である.
 最後に,本書の刊行にご尽力頂きました株式会社 文光堂の皆様に厚く御礼申し上げます.特に,本書は同社 浅井 宏祐会長のお勧めでなされたものであり,ここに心から感謝申し上げます.

2015年初春
順天堂大学医学部腎臓内科,
順天堂大学大学院医学研究科寄付講座 慢性腎臓病(CKD)集学的治療研究講座 教授
神田川のほとりにて 富野康日己

第I章 アプローチ総論 〜病診連携を意識した診察と検査のみかた〜
 1 腎疾患診療で病診連携はなぜ大事?〜その意義を知る〜
  ① 腎疾患診療の大切さとむずかしさ
  ② 求められるかかりつけ医と腎臓専門医の連携
  ③ CKD,AKI と専門医での診療の限界
 2 かかりつけ医は何をチェックすればいい?
  ① 主訴
  ② 既往歴
  ③ 家族歴
  ④ 社会歴・生活歴
  ⑤ 現病歴
 3 かかりつけ医・腎臓専門医での臨床検査
  ① 尿の肉眼的所見・尿量の読み方
  ② 尿検査の読み方
  ③ 血圧測定の読み方
  ④ 血液検査の読み方
  ⑤ 腎機能検査の読み方
  ⑥ 腎・尿路画像診断
  ⑦ 腎生検
第II章 アプローチ各論〜症例から学ぶ〜
 1 症状・症候からのアプローチ
  ① 尿に蛋白が出た
  ② 尿に血液が混じっている場合はどうする
  ③ 尿に糖が混じった場合(血糖値が高い時)はどうする
  ④ 尿に糖が混じった場合(血糖値が低い時)はどうする
  ⑤ 血圧が高い
  ⑥ むくんできた
  ⑦ 皮膚に紫色の皮疹が出た
  ⑧ 皮膚に紅い皮疹が出た
  ⑨ のどが痛くて発熱した
  ⑩ 血清クレアチニン値が高い
 2 疾患からのアプローチ
 〜診断のついた患者をかかりつけ医が継続してフォローする場合
  の注意点〜
  ① 糖尿病腎症のフォローはどうする?
  ② IgA腎症
  ③ 高血圧性腎硬化症
  ④ ループス腎炎(lupus nephritis)
  ⑤ ネフローゼ症候群(nephrotic syndrome)
  ⑥ 多発性囊胞腎(polycystic kidney disease:PCKD)
  ⑦ 尿細管間質性腎炎
  ⑧ 尿細管性アシドーシス
  ⑨ 末期腎不全(end-stage kidney disease:ESKD)
第III章 腎疾患,基礎・臨床のエッセンス 〜腎臓専門医の診療〜
 1 腎疾患発症・進展の機序
  ① 糸球体腎炎の発症機序
  ② 糸球体腎炎の進展・増悪機序
  ③ 尿細管・間質性腎炎の発症機序
  ④ 尿細管・間質性腎炎の進展・増悪機序
 2 腎疾患の臨床症候分類
  ① 糸球体に異常がみられる代表的疾患
  ② 尿細管・間質に異常がみられる代表的疾患
 3 CKDとAKI
  ① 慢性腎臓病(CKD)
  ② 急性腎障害(AKI)(急性腎不全:ARF)
付録 透析療法・腎移植のエッセンス
索引

● M e m o
 多発性囊胞腎の課題
 尿沈渣いまむかし
 血漿HCO3
 −測定時のピットフォール
 現在の腎生検の適応
 SGLTとは?
 正常妊娠による腎臓の変化
 妊娠高血圧症候群(旧称:妊娠中毒症)
 IgA腎症治療の諸注意
 免疫抑制薬のパルス療法
 透析患者の予後
 ループスは「狼」?!