
- B6変型判・328頁・2色刷
- ISBN 978-4-8306-1883-3
- 2012年10月発行
IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病)という病気を正しく理解し,患者をサポートしていくためにどうすればよいか,という視点からまとめられた画期的なハンドブック.6年ぶりの改訂で最新情報を盛り込み,より使いやすくなった.IBDに精通した各専門家の執筆により診察・検査の介助の仕方,治療,日常生活の注意点まで実践的な内容で,図表も多く分かりやすい.コメディカルや医師,患者やその家族におすすめの1冊.
☆図版81点,表組82点,カラー写真19点,モノクロ写真16点
IBDチーム医療ハンドブック 第2版
改訂にあたって
平成18年にIBDの医療関係者に役立つように本書を発刊いたしました.以来6年が経過し,新薬の出現,診療ガイドラインの改正などの進歩があり,改訂が必要になってきました.
多くの専門家が快く改訂に御協力くださり,第2版が完成いたしました.
必要な情報が簡潔に,平易に,項目別に重要度に応じて箇条書きにまとめられており,読みやすく,理解しやすいように編集されております.IBDの患者さんと接する機会のある医師,看護師,薬剤師,栄養士,ケースワーカー,行政の方々のお役に立つと信じております.
本書をお読みになれば,患者さんへの理解,対応が深まると思います.
平成24年6月から発刊母体であるNPO法人日本炎症性腸疾患協会(CCFJ)は事務局,役員が変更しましたが,今後もIBDの支援を続けて参ります.
御多忙ななか,御協力いただいた著者の方々,文光堂に深く感謝いたします.
平成24年10月吉日
NPO法人日本炎症性腸疾患協会 顧問
福島 恒男
Ⅰ章 IBDを理解するためのベーシック〜IBDと出会ったとき
● IBDでよく使われる語句・略語
[1]IBDとは
[A]潰瘍性大腸炎
[B]クローン病
[2]男女の違い〜心がけること〜
[3]活動性・重症度の判定
[4]IBD患者さんとの接し方
[A]自己管理について
[B]コーピングによる適応
[C]どのように検査や治療を受ければよいか
[D]検査や治療に対するインフォームドコンセント
[5]特定疾患とは何か:最初の手続き
[A]受給証を得るための最初の手続き
[B]申請に必要となる書類
[C]受給者証の維持には
II章 IBDの基礎知識〜IBDの病態生理を理解しよう
[1]IBDとは〈Ⅰ章1項参照〉
[2]潰瘍性大腸炎とクローン病の病態と機序
[A]潰瘍性大腸炎とは,どのような病気か
[B]クローン病とは,どのような病気か
[3]活動性・重症度の判定〈Ⅰ章3項参照〉
[4]肛門・泌尿器の解剖と生理(男女差)
[A]肛門の解剖と生理
[B]泌尿器の解剖と生理
[C]男女差
[5]瘻孔とは
[A]「瘻孔(ろうこう)」とは何か
[B]瘻孔のパターン
[6]消化酵素,消化管ホルモン,骨の生理
[A]消化酵素による分解と吸収
[B]消化管ホルモン
[C]骨の生理
III章 診察・検査の介助〜どうしたら適切な介助ができるか
[1]内科診察
[2]外来診察の介助
Ⅰ.看護師Aからのアドバイス
[A]診察前
[B]診察時
[C]腹部の診察時(肛門診察以外)
[D]腹部診察終了後
[E]その他
II.看護師Bからのアドバイス
[A]待合室にて〈コメディカル・看護師・医師が気をつけること〉
[B]予診〈看護師・医師が気をつけること〉
[C]問診〈診察室にて医師が気をつけること〉
[D]腹部診察・直腸診
[E]検査予約・薬の処方・次回診察予約〈医師・看護師が行う〉
[F]緊急時連絡先の指示〈看護師・医師が行う〉
[3]肛門科診察の介助
[A]肛門科の診察方法
[B]診察時の体位
[C]介助のポイント
[D]実際の介助では
[E]その他の診断方法
[4]採血で何がわかるか
[A]基本的な採血の意味
[B]炎症を採血データで読み取る
[C]貧血を採血データで読み取る
[D]栄養状態を採血データで読み取る
[E]その他を採血データで読み取る
[5]X線,小腸造影・大腸造影検査の介助
[A]腹部単純X線検査とは
[B]造影検査における注意点
[C]小腸造影とは
[D]大腸造影とは
[6]画像診断の基礎知識
[A]画像診断をする前に理解すべきこと
[B]潰瘍性大腸炎における画像診断の基礎知識
[C]クローン病における画像診断の基礎知識
[7]一般的な内視鏡検査
[A]上部消化管内視鏡
[B]大腸内視鏡
[C]小腸内視鏡
[D]肛門鏡,直腸鏡
[8]カプセル内視鏡・ダブルバルーン内視鏡
[A]カプセル内視鏡
[B]ダブルバルーン内視鏡
[9]IBD患者さんとの接し方〈Ⅰ章4項参照〉
IV章 よくある合併症〜腸以外で起きることは何か
[1]肛門
[A]肛門によくある合併症とは
[B]肛門によくある合併症のパターン
[2]泌尿器
[A]泌尿器によくある合併症とは
[B]泌尿器によくある合併症のパターン
[3]皮膚
[A]皮膚によくある合併症とは
[B]皮膚によくある合併症のパターン
[4]眼
[A]眼によくある合併症とは
[B]眼によくある合併症のパターン
[5]関節炎
[A]関節炎のパターン
[B]治療
[6]婦人科的合併症
[7]肝・胆・膵
[A]肝臓の合併症
[B]胆道系の合併症
[C]膵臓の合併症
[8]精神症状
[A]IBDに合併することが多い精神症状
[B]精神症状が現れる背景
[C]問題解決への流れ
[9]癌化
[A]一般的な知識
[B]危険因子
[C]治療
[D]予防
[E]対策
Ⅴ章 内科治療〜どうやって治すか
[1]IBDに使われる薬(基本的知識)
[A]5-アミノサリチル酸製剤
[B]ステロイド(副腎皮質ホルモン)
[C]免疫調節薬
[D]抗菌薬:メトロニダゾール(フラジール(R))
[E]抗TNF-α抗体:インフリキシマブ(レミケード(R)),アダリムマブ(ヒュミラ(R))
[メモ]サイトカインとは何か
[F]CAP療法:顆粒球吸着療法(GCAP),白血球除去療法(LCAP)
[G]経腸栄養剤
1.成分栄養(エレンタール(R)配合内用剤)
[H]漢方薬
[I]その他の薬
1.エパデール(R)(イコサペント酸エチル)
2.対症療法薬
[2]内科治療の実際
Ⅰ.潰瘍性大腸炎
[A]潰瘍性大腸炎とは
[B]病期の分類と治療目標
[C]潰瘍性大腸炎の治療で使用される薬剤
1.5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤
2.ステロイド
3.免疫調節薬
4.抗TNF-α抗体製剤
[メモ]FK506,IFX,CsA投与のポイント
[D]白血球・顆粒球吸着除去療法
1.白血球・顆粒球吸着除去療法の背景
2.白血球・顆粒球吸着除去療法の実際
3.白血球・顆粒球吸着除去療法の有用性
4.白血球・顆粒球吸着除去療法の注意点
II.クローン病
[A]クローン病の治療で使用される薬剤
1.5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤:メサラジン
・5-SAS製剤の適応と投与法
・5-SAS製剤の副作用
2.ステロイド
・ステロイド投与の実際
・ステロイドの効果とQOL
・新しいステロイド薬
3.免疫調節薬
・クローン病治療に用いられる免疫調節薬の基礎知識
・イムラン(R)とロイケリン(R)の効果と位置づけ
・イムラン(R)とロイケン(R)の長期投与
・イムラン(R)とロイケン(R)の副作用
4.生物学的製剤:抗TNF-α抗体
・クローン病に用いられる生物学的製剤と適応
・レミケード(R)とヒュミラ(R)による寛解導入と寛解維持
・効果減弱(二次無効)の対策
・レミケード(R)とヒュミラ(R)投与時に留意すべき病態と副作用
[3]肛門病変の薬
[4]合併症の薬にはどんなものがあるか
[A]炎症性腸疾患の合併症
[B]合併症に用いられる薬
1.腸管合併症に用いる薬
2.腸管外合併症に用いる薬
3.治療に用いられる薬物(A)によって引き起こされる諸症状(B)に用いられる薬(C)
4.合併症状改善のための漢方薬
[5]服薬指導について
[A]環境づくりから
[B]薬を覚えてもらう
[C]個々に症状緩和を目指す
[D]メンタルフォローも考慮した会話の持ち方
[6]将来の治療展望
[A]ここ数年でIBDの治療は大きく変わってきた
[B]日本と欧米の違いを知ることも重要だ
[C]まだまだ出てくる新薬,治験の重要性を知ってもらうことも必要だ
[メモ]抗菌療法:米国の場合
VI章 外科治療〜IBDの手術にはどんなものがあるか
[1]肛門病変の手術と術後管理
[A]手術の対象となる肛門病変
[B]手術の実際
[C]シートンとは
[D]術後管理の注意点
[2]潰瘍性大腸炎の手術と術後管理
[A]術前に注意すべき点
[B]患者への十分な説明
[C]術前の処置など
[D]術後の注意点
[3]クローン病の手術と術後管理
[A]外科治療の目的
[B]手術適応
[C]手術術式
[D]術前・術後管理
[E]再発・再燃予防
[4]ストーマ造設術について
[A]ストーマとは
[B]ストーマ造設術
[C]術前に行うこと
[D]術後に行うこと
[5]ストーマケアの実際
[A]術前のケアが重要
[B]術直後のセルフケアと必要物品
[C]装具の選択基準と退院指導
[D]ストーマ合併症への対応
[6]腹腔鏡下手術とは
[7]術後の食事のとり方
[A]基本方針
[B]栄養バランス・量を考慮した,食欲の出る食事
[C]消化のよい食品・調理方法を選ぶ
[D]脂肪の多い食品を控え,脂肪の質を考慮する
[E]刺激になる食品を控える
[F]その他
VII章 妊婦・小児・高齢者のIBD〜とくに気をつけておきたい患者さん
[1]妊娠とIBD
Ⅰ.疾患と妊娠・出産
[A]IBDと遺伝
[B]受胎能力
[C]IBDの妊娠への影響
[D]妊娠がIBD活動度に与える影響
[E]IBD患者の分娩
[F]妊娠中のIBD患者への支援
II.妊娠・授乳中の薬物治療
[A]妊娠中の薬剤
[B]IBD患者の授乳
[C]各薬剤の影響
1.5-ASA製剤
2.副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン:プレドニン(R))
3.免疫調節薬
4.抗菌薬
5.抗TNF-α抗体
6.その他の薬剤
7.栄養療法(経腸栄養剤,中心静脈栄養:TPN)
8.その他の治療
III.妊娠中の食事
[A]栄養付加量
[B]栄養付加の方法
[2]小児のIBD
Ⅰ.小児患者との向き合い方
[A]小児IBDの特徴
[B]小児IBD患者との向き合い方
II.内科治療と外科治療
[A]小児IBDの疫学
[B]臨床経過の特徴
[C]内科治療
[D]外科治療
[E]小児IBDの今後
III.小児の栄養療法
[A]小児IBD治療における栄養療法の位置づけ
[B]治療指針
[C]小児IBDに対する栄養療法の工夫
[3]高齢者のIBD
[A]高齢者とIBDの関係
[B]高齢者における一般的な注意点
[C]高齢者のIBDの特徴
[D]国や地方自治体による社会保障制度
VIII章 食事療法と栄養療法〜食事は大切
[1]栄養の基礎知識
Ⅰ.水・電解質,輸液とは
II.糖質代謝とは
III.蛋白質,アミノ酸代謝とは
IV.脂質代謝とは
Ⅴ.食物繊維
[A]食物繊維とは
[B]IBDと食物繊維
[C]プレバイオティクスとしての食物繊維
[D]潰瘍性大腸炎と食物繊維
[E]クローン病と食物繊維
VI.プロバイオティクス
[A]プロバイオティクスとは
[B]IBDとプロバイオティクス
[C]プロバイオティクスに期待される生理作用
[D]潰瘍性大腸炎とプロバイオティクス
[E]クローン病とプロバイオティクス
VII.微量栄養素とは
[A]ビタミンとミネラル(無機質)
[B]微量栄養素とIBD
[C]ビタミン
1.脂溶性ビタミン
2.水溶性ビタミン
[D]ミネラル(無機質)
1.鉄(Fe)
2.亜鉛(Zn)
3.セレン(Se)
4.カルシウム(Ca)
5.水分と電解質
[E]微量栄養素の補給
[2]栄養アセスメントとは
[A]栄養アセスメントとは
[B]主観的包括的評価(SGA)の指標
[C]客観的栄養評価の指標
[3]IBDの食事〜何をどのように食べればよいのか〜
Ⅰ.潰瘍性大腸炎の場合
[A]食事の進め方
[B]栄養基準と食品選択の目安
II.クローン病の場合
[A]食事の進め方
[B]食事基準(例)
[4]IBDの栄養療法とは(小児・妊婦以外)
[A]治療の考え方
[B]潰瘍性大腸炎
[C]クローン病
[5]栄養療法(経口・経腸)の進め方と必要な器材
[A]経腸栄養療法の適応と禁忌
[B]経腸栄養剤の種類
[C]経腸栄養剤の投与法
[D]経管法での経腸栄養療法に必要な器材
[E]経腸栄養剤の濃度や投与量の設定
[F]経腸栄養療法の合併症と対策
[6]feeding tubeの安全な取り扱い
[A]経鼻チューブの挿入
[B]経鼻チューブ挿入時に注意すること
[C]栄養セットを清潔に管理する方法
[7]中心静脈栄養法の進め方とその管理
[A]中心静脈栄養法とは
[B]TPNの方法
[C]在宅静脈栄養法
[8]サプリメント・健康食品の使い方
[A]保健機能食品(サプリメント)の分類
[メモ]栄養療法:米国の場合
IX章 社会生活〜快適に暮らすには
[1]日常生活上の注意
[A]就学
[B]運動
[C]結婚
[D]喫煙
[2]“におい”の対策はどうするか
[3]口腔ケアの実際
[A]う蝕(虫歯)の原因
[B]う蝕(虫歯)が多いといわれているクローン病患者
[C]口腔ケアの実際
[メモ]口腔衛生とIBDの関係
[4]肛門ケアの実際
[A]肛門ケアに先立つ注意点
[B]クローン病に特有の肛門病変
[C]通常の肛門ケア(治療を要する肛門病変がない場合)
[5]生命保険について
[A]保険業と保険会社
[B]主な保険の種類とその特徴
[C]IBD患者の生命保険加入
[D]保障商品の新たな動き
[メモ]生命保険:米国,カナダの場合
[6]就職と資格
[A]就職について
[B]資格について
[C]障害者雇用について
Ⅹ章 支援体制〜社会的サポートを上手に使おう
[1]特定疾患とは何か:最初の手続き〈Ⅰ章5項参照〉
[2]社会保障制度・障害者自立支援制度
[A]「障害者自立支援制度」とは何か
[B]障害者自立支援制度の「小腸機能障害」とは
[C]障害者自立支援制度の「膀胱・直腸機能障害」とは
[D]身体障害者への社会福祉サービス
[E]身体障害者の申請方法
[F]身体障害者申請の留意事項
[3]患者会の役割
[4]保健所の役割
[A]保健所保健師などの業務
[5]難病相談・支援センター
[A]設置に至った経緯
[B]事業内容
[C]運営
[6]CCFAとCCFJ
[A]CCFA
[B]CCFJ
付録
■高カロリー輸液
■アミノ酸輸液
■脂肪乳剤
■総合ビタミン製剤
■微量元素製剤
■経腸栄養剤
■蛋白質調整濃厚流動食
■IBDでよく使われる薬のカタログ
■本文中で掲載された写真のカラー表示
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