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こんなときどうする!?皮膚科専門医でも手こずる各種トラブルへの対応を解説!

新刊

皮膚科トラブル対応テキスト

  • 編集:出光俊郎(自治医科大学附属さいたま医療センター皮膚科教授)
  • B5判・240頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-3468-0
  • 2019年5月発行
定価 7,560 円 (本体 7,000円 + 税)
あり
在庫

内容

序文

主要目次

皮膚科専門医でも手こずる様々なトラブルへの対応について解説した実践書.単なる過去のトラブル事例の紹介ではなく,各種トラブルへの緊急時の対応策,事前の回避策・予防策,トラブル後のフォロー,患者説明の仕方などに重点を置き,何度読み返しても役立つ内容となっている.よくあるトラブルから,頻度は高くないが遭遇すると絶望的になるようなシビアなトラブルまで,各種トラブルを網羅し,各トラブルは「冷や汗度」・「頻度」が5段階で示されている.いつか遭遇するかもしれないトラブルに備えて,皮膚科医が手元にいつも置いておきたいと思わせる1冊.

序 文

 やっちまった!人は誰でもトラブルに遭遇したとき,一瞬パニック状態になる.さらに,ミスが重なりダメージが拡大する.ある意味,医療行為とは地雷原(トラブル)の中を全力で走り抜けているようなものであり,たえず回避・軌道修正を続けながらよいゴールに到達することが期待されている.特に医原性のトラブルは寿命が縮む.のどから心臓が出そう,消えてしまいたい,と茫然となるが,あらかじめ,対処法を知っておくことは臨床医のたしなみであろう.筆者にとって最初の冷や汗は外科研修中,はじめて,夜間に虫垂炎の緊急手術をしたときのことである.「えっ!アッペ(虫垂)がない!いったいどうすれば……?!」と冷や汗がどっと出たが,上級医の適切な指導により,化膿した虫垂をみつけることができた.あのときの焦りというか,絶望感はいまだ,心の奥に教訓として残っている.
 皮膚科の日常診療においても,診断,検査,治療などの過程でいくつもの落とし穴がある.最初の診断がはずれて,やぶれかぶれのプレドニゾロン1日30mg 投与もむなしく皮疹は悪化するなんてことはよく耳にする.また,皮下腫瘍を切除しようとしたが,腫瘍が見つからない,あるいは止めどなく沸き出でる出血が止まらず絶望感に襲われることもあるだろう.薬剤の相互作用も知らずに,うっかり投与してしまうことも想定される.昨今は以前にも増して,ひやひやしながら慎重に診療に向かわざるをえない状況になりつつある.
 昔は,夜遅くまで医局に残り,先輩方の失敗談を耳学問で勉強した.なかにはレジェンドや武勇伝として語り継がれるようなものもあったが,先人たちによる失敗談を自分の体験として頭の片隅にとどめることがいかに大切かを学んできた.しかしながら,働き方改革に向かう現在の状況では,医局や病棟・外来に夜遅くまで残ることもなく,貴重な失敗談,トラブルの回避や対処法は先輩方の口伝からは得られなくなるであろう.したがって,失敗の本質や対処法は書籍や講習会で学ぶ以外にはなくなるのではないかと懸念される.
 トラブルにはいくつかのパターンがある.本書では診断や治療のトラブルをはじめ,合併症や困ったこと,思いがけない事態の発生などを幅広く想定して構成した.特に各項目では遭遇する頻度とともに「冷や汗たらり〜」の度合いを表わす冷や汗度をつけておいた.トラブルの原因,対応,予防・回避策,トラブル後のフォローまでお読みいただきたい.
 皮膚科においても医療の質を高めながら安全を希求する時代である.こんなこともあるのかと本書を読んでバーチャルスタディとして疑似体験していただき,冷や汗をかきつつも冷静に対処する精神力,すなわち「沈勇」を学んでいただければさらに幸いである.

2019年5月

出光俊郎
自治医科大学附属さいたま医療センター皮膚科

I章 診断トラブルケース
 ● 薬疹(中毒疹)とされていたが実は悪性リンパ腫だった
 ● 見落としやすい感染症に伴う皮膚潰瘍
 ● 爪白癬と思って鏡検したが真菌が見つからない!どうする?
 ● 梅毒血清反応が弱陽性のときの対応(特に若年者の場合)
 ● 打撲のスキンテアと思ったら皮下深部解離性血腫があった
 ● 手・足の血管拡張性肉芽腫様病変 病理診断は意外な皮膚腫瘍だった
 ● 他院でレーザーや液体窒素治療をうけたシミがメラノーマだった
 ● 難治性湿疹は,実は意外な接触皮膚炎だった
 ● なかなか治らない夏の毛囊炎様皮疹
 ● 陰部に黒褐色丘疹以外にもある多彩な症状
  〜ボーエン様丘疹症であったがボーエン病を合併していた〜
 ● 切断しても助からない高い死亡率の電撃性紫斑
 ● Stevens-Johnson症候群と多形紅斑重症型(EM major)との鑑別
  TOPIC ホームレスの皮膚障害〜スキンケアのなされていない究極の皮膚症状〜
II章 治療トラブルケース
 ● 治療しても難治で悪化する酒さ様皮膚炎
 ● 日光角化症にイミキモドクリームを外用したら,発赤,腫脹が出現して
  「もう治療したくない」と患者が治療継続をためらっている
 ● 多くの治療薬が合わない顔面のにきび
 ● 爪の患者がくると頭がまっしろ 爪の変形,爪の愁訴
 ● 下腿潰瘍が感染・炎症を反復
 ● 口唇びらんを呈する日光角化症(光線性口唇炎)
 ● デブリードマンしても悪化するばかりの足の潰瘍
 ● 皮下腫瘍を切除しようとしたが皮膚の下に腫瘍がみつからない!
  絶望感のトラブル
 ● Paget病の切除手術をしたら尿道や膣や肛門の一部にPaget細胞がみられた
 ● 円形脱毛症にSADBE治療をしたらショックになった
 ● 顔面扁平疣贅(いぼ)
  〜自然消褪現象を悪化と誤解して来院したときの対応〜
 ● ストーマトラブル
 ● アトピー性皮膚炎の顔面の皮膚炎でプロトピックが使えない
  〜カポジ水痘様発疹症頻回再発への対応など〜
 ● 眼瞼皮膚炎の治療中,検診で眼圧が上昇したといわれた
 ● アトピー性皮膚炎治療中に妊娠が判明した
III章 しまった!検査・手術の併発症
 ● 皮膚腫瘍摘出したが,単純に閉創できず,きずがよらない!
 ● 美容施術による皮膚潰瘍
 ● 手術後に発熱 術後感染の早期発見と治療!
 ● ラップでくるんだ創部がどろどろ!「ラップ療法」による感染
 ● 外来で褥瘡のデブリードマンしたら出血が止まらないと救急外来を受診!
 ● 生検したら傷が大きく目立つとのクレーム
 ● 衝撃!術後全身皮膚が真っ青になった!ブルーマン症候群
  TOPIC 訴訟になりそうなとき,実際に医療事故を起こしてしまったときの対応や手続き
IV章 どうする!難治・反復・重症例
 ● 1年中出没して消えることのない口腔アフタ
 ● 頻回に再発する単純ヘルペス 口唇・性器ヘルペス
 ● 腫瘍随伴性天疱瘡で全身が熱傷様のびらんを呈する皮膚病変
 ● ステロイド内服による副作用をきたした難治性蕁麻疹
 ● 食後アナフィラキシーの反復 原因が思いつかない
 ● 脊髄損傷患者の褥瘡治療
 ● ステロイドを減量すると再燃する薬剤性過敏症症候群
 ● ステロイドが減量できない天疱瘡
 ● プレドニンが効かない 自己免疫性水疱症ー薬剤相互作用
 ● 重症薬疹や水疱症に血漿交換療法をしたら敗血症をきたした
 ● 難治性疣贅「何度も通っているのに治らない.なんとかしてほしい」
V章 薬剤によるトラブル対応
 ● 薬剤性アナフィラキシーショックとアスピリン不耐症
 ● 抗癌剤の点滴漏れ潰瘍
 ● 抗癌剤(分子標的薬)による痤瘡様皮疹にステロイド外用治療をしたが悪化した
 ● 難治性口内炎〜MTXによる薬剤性口内炎〜
 ● 帯状疱疹でバラシクロビル治療中の患者に起きた意識障害
  〜アシクロビル脳症およびアシクロビルによる急性腎不全〜
VI章 乳幼児のトラブル対応
 ● 乳児Celsus(ケルスス)禿瘡(頭部白癬)による脱毛
  〜永久脱毛を心配する母親への対応を含めて〜
 ● 「先生,ステロイドは怖い薬ですよね?」ステロイド忌避患者のアトピー性皮膚炎
 ● 家族まで悩ませる小児の難治性脱毛/乏毛
 ● 乳児血管腫の治療,乳児太田母斑のレーザー治療
 ● 見逃さない!小児虐待を疑うケースへの対応
VII章 心身医学的背景・疾患にどう対応する?
 ● 「虫がでてきて痒みが治らない!」寄生虫妄想
 ● 「なにをやっても口腔内の疼痛がとれない!」口腔灼熱症候群
 ● ボディイメージの問題に関わる皮膚のトラブル
  〜心気症・身体醜形障害を含めて〜
VIII章 感染症のトラブル対応
 ● アタマジラミが治らない〜フェノトリン抵抗性アタマジラミにはどう対応する?〜
 ● 疥癬を見落として院内で集団感染した
 ● 反復する柔道部員の体部白癬〜トンスランス感染症〜
 ● 反復する皮膚細菌感染症〜伝染性膿痂疹や癤,癰と蜂窩織炎〜
 ● 外用薬で治らない爪白癬
IX章 その他のトラブルケース
  TOPIC クレーマー対応〜どんな患者に注意しておくべきか〜
  TOPIC エホバの証人の皮膚外科手術や難治性自己免疫性水疱症の治療(輸血/IVIG/血漿交換など),免疫抑制薬の使用(造血系副作用)など対応について
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