
- B5判・104頁・2色刷
- ISBN 978-4-8306-1386-9
- 2014年3月発行
日本糖尿病学会「東日本大震災から見た災害時の糖尿病医療体制構築のための調査研究」委員会が作成した,災害時における糖尿病の診療マニュアル.「災害に対する備え」「災害時の糖尿病医療者の役割」,「個々の糖尿病病態への対応」,「患者の備え」について震災時の経験を踏まえた貴重なアドバイスが簡潔にまとまっている.病院,クリニックに常備し,医師・医療従事者に役立てていただきたい.
☆図版3点,表組10点
はじめに
甚大な被害をもたらした東日本大震災から3年が経とうとしている.糖尿病は平時には病状が安定していても,災害時には悪化して急性の代謝失調を招くことがあり,糖尿病患者は災害弱者といえる.
日本糖尿病学会では,発災後に「東日本大震災から見た災害時の糖尿病医療体制構築のための調査研究委員会」を発足させ,被災3県(岩手,宮城,福島)を対象に,東日本大震災が糖尿病患者や糖尿病医療に及ぼした影響についてアンケート調査を行い,災害時の糖尿病医療体制構築のための資料として平成24年7月に報告した.
その後,日本において将来発生しうる大災害に備えるために,アンケート調査結果などを参考にして「糖尿病医療者のための災害時糖尿病診療マニュアル」を作成することが日本糖尿病学会理事長から提案され,本書の作成に至った.
本書は大きく分けて,災害に対する備え,災害時の糖尿病医療者の役割,個々の糖尿病病態への対応,患者の備えからなる.執筆者は前述の震災調査委員会の委員に加えて,それぞれの分野のご専門の先生方にお願いしてご協力をいただいた.心から感謝申し上げたい.
糖尿病医療に携わる医師やコメディカルなど,あらゆる分野の方々に参考になる内容であり,ご活用いただければ幸いである.
平成26年2月
東日本大震災から見た災害時の糖尿病医療体制構築のための調査研究委員会
●はじめに
●災害時の糖尿病医療における糖尿病学会の役割
I 災害に対する備え
1 ライフラインと情報の整備
2 食品や医薬品の備蓄
3 医療機関の災害対応マニュアル,訓練
4 地域の医療連携
II 災害時の糖尿病医療者の役割
1 災害派遣医療チーム(DMAT: Disaster Medical Assistance Team)
2 糖尿病医療支援チーム(DiaMAT: Diabetes Medical Assistance Team)
3 医 師
4 看護師,保健師
5 薬剤師
6 管理栄養士
7 運動療法士,理学療法士
8 検査技師,臨床工学士
9 歯科医師,歯科衛生士
III個々の糖尿病病態への対応
1 全体的な注意事項
2 インスリン治療者
3 GLP-1 受容体作動薬による治療者
4 経口血糖降下薬服用者
5 食事・運動療法のみの患者
6 高血糖,低血糖,糖尿病性昏睡
7 合併症
1.神経障害
2.網膜症
3.腎症,透析
4.足壊疽,PAD
5.深部静脈血栓症
6.感染症
7.心血管疾患
8.高血圧症(急性増悪)
9.脳梗塞
8 特別な配慮が必要な患者
1.妊 婦
2.高齢者
3.精神的サポート
IV 患者の備え
●おわりに
●引用文献
●索 引