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肺癌の病理診断のスタンダードをめざした腫瘍病理鑑別診断アトラス!

腫瘍病理鑑別診断アトラス  

肺癌

カバー写真
  • 編集:深山正久(東京大学教授)
  •     野口雅之(筑波大学教授)
  •     松野吉宏(北海道大学教授)
  • B5変型判・302頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2241-0
  • 2014年11月発行
定価 16,200 円 (本体 15,000円 + 税)
あり
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内容

序文

主要目次

肺癌分類では,EGFR変異,ALKキメラ遺伝子に代表される遺伝子異常,分子標的治療を念頭においた診断がトピックである.また,腺癌・扁平上皮癌の鑑別,肺腺癌の分類,概念についても世界肺癌学会(IASLC),米国胸部学会,欧州呼吸器学会の三学会による分類が提唱され,2015年にはWHO分類の改定が予定されている.本書では,新WHO分類,改訂取扱い規約を先取りした形で,肺癌の多彩な上皮性腫瘍,間葉系腫瘍,腫瘍様病変を解説する.
☆図版26点,表組50点,カラー写真225点,モノクロ写真28点

序文

 腫瘍病理診断における日本の病理学の標準的なガイドラインを示すことを目的として,「腫瘍病理鑑別診断アトラス」シリーズが2009年より刊行された.日本病理学会の協力を得て,刊行委員会によって日本を代表する編集者を選ぶことにより,名実ともに日本における標準的な腫瘍病理学アトラスとなっていた.その後,諸事情による見直しと中断の時期をはさんだが,2012年,改めて日本病理学会編集協力としてシリーズを再開できる状況となった.この間も当初と変わらない手続きで刊行が継続されていたが,ここに新たな刊行委員会の下で日本病理学会編集協力「腫瘍病理鑑別診断アトラス」として再スタートを切ることとなった.
 新シリーズの第2弾として「肺癌」を刊行することとなった.日本肺癌学会による「肺癌取扱い規約」は1978年に初版が出版され,現在,第7版となっている.「肺癌取扱い規約」には中皮細胞腫瘍の項目が設けられており,胸膜に発生する腫瘍も包含している.縦隔腫瘍については,日本胸腺研究会により2009年に初版が出版された.一方,WHO組織分類については,“Histological Typing of Lung Tumours”として1967年初版,1981年第2版が出版された後,1999年には“Histological Typing of Lung and Pleural Tumours”第3版として出版されている.「肺癌取扱い規約」組織分類も,第6版からWHOに準拠している.胸腺腫瘍については,1999年に“Histological Typing of Tumours of Thymus” が出版された(表紙には第2版と印刷されているが,胸腺腫瘍分類としては初版である).そして,2004年には“WHO Classification of Tumours:Pathology and Genetics;Tumours of the Lung, Pleura, Thymus and Heart”が出版されている.以上,肺,胸膜腫瘍,縦隔腫瘍を一つのまとまりとして捉えることはWHO分類に対応しているものと思われる.
 現在,肺癌の分類を考えるうえで,大きなインパクトはEGFR変異,ALKキメラ遺伝子に代表される遺伝子異常,分子標的治療を念頭においた診断・治療であろう.さらに,腺癌・扁平上皮癌の鑑別,肺腺癌の分類,概念についても世界肺癌学会(IASLC),米国胸部学会,欧州呼吸器学会
の三学会による分類が提唱されている.2015年春にはWHO分類の新たな改定が予定されている状況となっている.
 このような状況を念頭に置きながら,今回の「腫瘍病理鑑別診断アトラス」では,WHO分類,改訂取扱い規約を先取りした形で肺癌病理を解説することとした.肺癌病理の新たな動きをしっかりと捉え,多彩な上皮性腫瘍,間葉系腫瘍,腫瘍様病変を識別する海図,羅針盤となることを願っている.

 平成26年11月
  深山 正久
  野口 雅之
  松野 吉宏

 この「腫瘍病理鑑別診断アトラスシリーズ」は日本病理学会の編集協力のもと,刊行委員会を設置し,本シリーズが日本の病理学の標準的なガイドラインとなるよう,各巻ごとの編集者選定をはじめ取りまとめをおこなっています.

 腫瘍病理鑑別診断アトラス刊行委員会
 小田義直,坂元亨宇,深山正久,松野吉宏,森永正二郎,森谷卓也

第1部 検鏡前の確認事項
 I.肺癌取扱い規約のコンセプト
  1.取扱い規約分類と国際分類
  2.肺腫瘍の国際分類とその変遷
 II.病理標本の取扱い方
  1.生検材料(経気管支,CT ガイド下)の取扱い
  2.手術材料の取扱い(VATS を含む)
第2部 組織型と診断の実際
 I.上皮性腫瘍
  A.良性腫瘍
   1.乳頭腫(扁平上皮性,腺上皮性,扁平上皮腺上皮性混合型)
   2.腺腫(肺胞腺腫,乳頭腺腫,唾液腺型腺腫,粘液囊胞腺腫)
  B.悪性腫瘍
   1.前浸潤性病変
    (1)扁平上皮異形成,上皮内(扁平上皮)癌
    (2)異型腺腫様過形成,上皮内腺癌
    (3)びまん性特発性肺神経内分泌細胞過形成
   2.扁平上皮癌
    (1)扁平上皮癌とその特殊型(類基底細胞癌)
   3.神経内分泌癌
    (1)小細胞癌とその特殊型(混合型小細胞癌)
    (2)大細胞神経内分泌癌および特殊型(混合型大細胞神経内分泌癌)
   4.腺癌
    (1)微少浸潤性腺癌
    (2)浸潤性腺癌
    (3)特殊性浸潤性腺癌
      a.浸潤性粘液腺癌
      b.膠様(コロイド)腺癌
      c.胎児型腺癌(低,高悪性度)
      d.腸型腺癌
      e.融合遺伝子陽性肺癌
   5.大細胞癌
   6.腺扁平上皮癌
   7.肉腫様癌・癌肉腫・肺芽腫
    (1)総論
    (2)紡錘細胞あるいは巨細胞を含む癌(多形癌,紡錘細胞癌,巨細胞癌)
    (3)癌肉腫
    (4)肺芽腫
   8.カルチノイド腫瘍
   9.唾液腺型癌
   10.分類不能癌
 II.非上皮性腫瘍
  A.軟部組織腫瘍
   1.限局性(弧在性)線維性腫瘍
   2.肺類上皮性血管内皮腫
   3.胸膜肺芽腫
   4.先天性気管支周囲筋線維芽細胞腫
   5.軟骨腫
   6.胸膜石灰化腫瘍
   7.びまん性肺リンパ管腫症
   8.線維形成性円形細胞腫瘍
  B.その他の腫瘍
   1.過誤腫
   2.硬化性血管腫
   3.PEComa・淡明細胞腫
   4.胚細胞性腫瘍
   5.胸腺腫
   6.悪性黒色腫
   7.顆粒細胞腫
   8.微小結節性肺胞上皮過形成
 III.リンパ組織増殖性疾患
   1.リンパ組織性間質性肺炎,結節性リンパ組織過形成,低悪性度辺縁帯B細胞リンパ腫
   2.Diffuse large B-cell lymphoma,その他のB細胞性腫瘍
   3.リンパ腫様肉芽腫症
   4.IgG4関連疾患
 IV.二次性腫瘍:転移性肺腫瘍
 V.腫瘍様病変
   1.多発増殖性病変
    1)テューモレット
    2)微小髄膜細胞様結節
    3)小結節性肺胞上皮細胞過形成
   2.炎症性病変
    1)炎症性偽腫瘍
    2)限局性器質化肺炎
    3)硝子化肉芽腫
    4)気管支炎症性ポリープ
    5)感染症
   3.囊胞性疾患
    1)Langerhans細胞組織球症(LCH)
    2)リンパ脈管筋腫症
   4.代謝障害
    1)アミロイド症(アミロイド小結節)
   5.異所性組織
    1)子宮内膜症
   6.奇形
    1)肺分画症
    2)肺動静脈瘻
   7.外傷
第3部 鑑別ポイント
 I.低分化な癌の鑑別(腺癌か,扁平上皮癌か)
 II.迅速診断で浸潤性肺腺癌と鑑別を要する病変
 III.腺癌浸潤の判定,浸潤部の測定の実際
 IV.縦隔側の胸膜浸潤
 V.転移性肺癌の鑑別
第4部 臨床との連携
 I.画像診断:主として術前画像との比較
 II.細胞診の有用性
  1.術前・術中細胞診
  2.細胞診の分子診断
 III.治療
  1.肺癌治療総論
  2.分子標的治療
  3.遺伝子検査のガイドライン
 IV.病理診断報告書の記載
  1.生検検体
  2.手術検体
索引