クローン病の診療に携わる全ての医師に役立つ,ポイントがわかりやすくまとめられた実践的なガイドブック!
クローン病の診療ガイド第2版
内容
序文
主要目次
好評の初版から5年ぶりの改訂.クローン病診療は,新しい治療指針や画像診断における新たな分類の導入など,進歩が著しい.第2版ではこれらの最新情報を盛り込み,臨床現場の第一線で活躍している各専門家が診療のポイントをわかりやすく解説.より臨床現場で役立つ実践的な内容のガイドブックとなった.クローン病の診療に携わる全ての医師,コメディカルスタッフ,患者さんにも身近に置いて活用していただきたい.
第2版刊行にあたって
クローン病の診療にあたっておられる消化器科の医師を始め,多くの医療関係者のお役に立つことを願って,2011年に本書の初版は出版されました.
初版の刊行から早いもので5年が経過しましたが,その間,新薬の導入,診療ガイドラインの変更,診断技術の進歩,治療方法の進歩,医療支援制度の変更などがあり,読者の皆様に最新の情報をお届けする必要を感じ,東京医科歯科大学の渡辺守教授とご相談して改訂をすることにいたしました.
本書はクローン病に対する診断,治療,病理,食事および生活指導,妊娠,癌化,社会支援などの項目で,診療現場で役立つ内容が簡潔にまとめられており,読みやすく,理解しやすいガイドブックの役割を果たしております.
専門家である執筆者のご協力で,従来の内容から進歩した情報を盛り込み,初版よりもさらに充実した内容になりました.本書が患者さんの治療,支援に役立つことを信じております.
改訂にあたり,ご多忙のところ快くご協力くださった執筆者の先生方,文光堂に改めて感謝申し上げます.
本書が前版と同様,広く皆様に受けいれられることを願っております.ぜひお手元に置いて,実際の診療のお役に立ててください.
平成28年10月吉日
NPO法人 日本炎症性腸疾患協会(CCFJ)顧問
福島恒男
第1章 診断基準・重症度・分類
1.クローン病の診断
[1] 診断基準
[2] 診断のポイント
[3] 鑑別診断
2.クローン病の分類
[1] 病型分類
[2] 活動度分類
3.肛門病変の診断基準
[1] クローン病における肛門病変
[2] クローン病における肛門病変の分類
[3] 肛門病変の特徴
[4] クローン病診断基準としての肛門病変
第2章 診断法
1.上部・下部内視鏡検査
[1] 下部内視鏡所見
[2] 上部内視鏡所見
[3] 内視鏡的活動指数
[4] 内視鏡検査における注意事項
2.消化管造影検査(X線検査)
[1] クローン病に用いるX線検査法
[2] クローン病のX線所見
3.小腸内視鏡・カプセル内視鏡
[1] BAE
[2] CE
4. その他の診断法(超音波/CT/MRI)
[1] 腹部超音波検査
[2] 腹部CT:CTE/enteroclysis
[3] 腹部MRI:MRE/enteroclysis
第3章 病理診断
はじめに
1.腸管病変の組織像の特徴
2.組織像と肉眼像の対応
3.クローン病診断における生検診断
4.クローン病の胃病変
第4章 内科的治療
1.基本的な考え方
2.5-ASA
[1] 薬剤の種類
[2] クローン病治療への適応
[3] 薬剤の代謝
[4] 5-ASA製剤の作用機序
[5] 臨床でのエビデンス
[6] 薬剤投与量
[7] 副作用
[8] 妊婦への安全性
3.抗菌薬
[1] 有効な抗菌薬の種類
[2] クローン病治療への適応
[3] 臨床でのエビデンス
[4] 薬剤投与量
[5] 副作用
[6] メトロニダゾールと発癌
[7] 妊婦への安全性
4.栄養療法
[1] 栄養療法の位置づけ
[2] 栄養療法の特徴と適応
[3] 使用する栄養剤の種類
[4] 投与の仕方
[5] 活動期の投与法
[6] 寛解期の栄養療法
5.GMA
[1] GMAの適応と効果
[2] GMA実施方法
[3] GMA実施に際して
6.内視鏡的拡張術
[1] クローン病狭窄病変に対する考え方とEBDの適応
[2] EBDの方法
[3] EBDの治療成績と合併症
[4] まとめ
7.抗TNF-α抗体製剤
[1] 作用機序と種類
[2] 適応および投与方法
[3] 寛解導入
[4] 寛解維持
[5] 瘻孔に対する効果
[6] 手術後の再発予防
[7] 効果減弱と対応
[8] 副作用
8.免疫調節薬
[1] 適応および投与方法
[2] 寛解導入
[3] 寛解維持
[4] 瘻孔に対する効果
[5] 手術再発予防
[6] 抗TNF-α抗体製剤との併用の有用性
[7] 副作用
Topics 新しい治療法-漢方薬-
第5章 外科的治療
1.腸管病変
[1] 手術適応と手術のタイミング
[2] 術前検査
[3] 手術術式
[4] 術後経過
2.肛門病変
[1] 外科的治療の選択
[2] 外科的治療の実際
[3] クローン病肛門病変に対する治療指針
第6章 食事および生活指導
1. 食事および生活指導の必要性
2.食事指導
[1] 活動期(重症)
[2] 活動期(軽症~中等症)
[3] 寛解期
3.生活指導
[1] 増悪因子を避ける指導
[2] 講演会や患者会を通じた情報提供による支援
[3] 社会制度による支援
4. 心理面での支援(心身医療的アプローチ)
[1] 心理支援の必要性
[2] IBD患者が陥りやすい心理状態
[3] 実際の心理的支援
第7章 妊娠とクローン病
1.IBD合併妊娠管理の基本的な考え方
2.疾患の遺伝性
3. クローン病による受胎・妊娠・出産・授乳への影響
[1] 受胎への影響
[2] 妊娠・出産・分娩への影響
[3] 授乳への影響
4. 妊娠・出産によるクローン病への影響
5. クローン病治療薬の妊娠・児に対する影響
[1] 女性患者の妊娠,胎児に対する影響
[2] 男性患者に対する影響
[3] 授乳に対する影響
第8章 小児のクローン病
はじめに
1.小児のクローン病の特徴
2.栄養療法
3.薬物療法
[1] 5-ASA製剤[メサラジン:ペンタサⓇ,サラゾスルファピリジン(SASP):サラゾピリンⓇ]
[2] ステロイド(プレドニゾロン:プレドニンⓇ)
[3] 免疫調節薬[アザチオプリン(AZA):イムランⓇ/メルカプトプリン(6-MP):ロイケリンⓇ]
[4] 生物学的製剤:抗TNF-α抗体製剤(インフリキシマブ:レミケードⓇ, アダリムマブ:ヒュミラⓇ)
[5] その他の薬物療法
4.外科的治療
5.クローン病患児の成長評価
6.メンタルケア
第9章 長期予後
1.クローン病の自然史
2.disease behavior
[1] クローン病におけるdisease behavior
[2] disease behaviorと遺伝子マーカー
3.累積手術からみる長期予後
[1] クローン病における外科手術
[2] 年代による手術率の変化
[3] 術後の再発予防
第10章 癌 化
はじめに
1.癌の頻度
[1] 大腸癌
[2] 小腸癌
[3] 瘻孔癌
[4] その他の癌
2.クローン病合併癌の特徴
3.治 療
4.癌発生のリスクファクター
[1] 炎症の部位など
[2] 性 別
[3] クローン病発症時年齢
[4] 罹病期間
[5] 地 域
5.予防・サーベイランス
おわりに
第11章 社会支援
1.社会支援の必要性と支援体制
2.社会保障制度
[1] 難病医療費助成制度
[2] 身体障害者認定
[3] 障害年金制度
[4] 傷病手当金
[5] その他
3.患者支援組織
[1] 患者会
[2] 保健所
[3] 難病相談・支援センター
[4] その他
4.間接的な支援活動
[1] 難治性炎症性腸管障害調査研究班
[2] 希少疾病用医薬品の開発促進制度
5.生命保険への加入
Column クローン病患者の就労支援