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第一線の専門家による,本邦初の「ベーチェット病」に関する成書!

ベーチェット病(電子版のみ)

カバー写真
  • 編集:廣畑俊成(北里大学教授)
  • B5判・164頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2037-9
  • 2016年3月1日発行
定価 7,480 円 (本体 6,800円 + 税10%)
なし
在庫
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内容

序文

主要目次

本書では,この25年で多大に進歩を遂げた,ベーチェット病に関する,遺伝学,免疫学的な背景から,粘膜皮膚,眼,関節,消化管,神経,血管の各症状や病変と,その予後と治療までの重要なテーマについて,第一線の専門家がわかりやすく解説した.特に病理所見や皮膚や眼,消化管などの症状についてはカラー写真を豊富に盛り込んだ.ベーチェット病診療医待望の,本邦初の成書.


 今から約25年前の1989年に,私は東京大学医学部附属病院物療内科のベーチェット病外来を引き継がせていただきました.以来現在に至るまでの25年間に,ベーチェット病に関して,遺伝学・免疫学の基礎的側面だけではなく,診断・治療の臨床的側面においても多大な進歩がもたらされました.特に,慢性進行型神経ベーチェット病の独特な病態が明らかになったことは,私にとって最も印象に残った出来事です.帝京大学の第2内科に移って数多くの患者さんを診ることができたのは私にとって本当に幸運なことでした.私の師匠である橋本喬史先生と一緒に色々な患者さんを診ていくうちに,神経ベーチェット病の患者さんの中に進行性の精神症状を示し,ステロイド・アザチオプリン・シクロホスファミドによる治療にもかかわらず,どんどん悪化して寝たきりの状態になっていく一群があり,こうした患者さんでは髄液のIL-6が持続的に著明な高値のまま下がらないことを見いだしました.治療に難渋しているときに,一人の患者さんにメトトレキサートを使用したところ,どうしても下がらなかったIL-6が劇的に下がったのを見て本当に興奮したことを昨日のことのように覚えています.この患者さんがきっかけになって,不治の病であった慢性進行型神経ベーチェット病の治療にメトトレキサートが用いられるようになったのです.
 その後もベーチェット病に関して少しずつ進歩が積み重ねられています.その一例としては,TNF阻害薬のインフリキシマブがベーチェット病の難治性ぶどう膜炎に劇的に奏効することが明らかにされ,全世界に先駆けて2007年1月に保険適応となりました.また,2015年8月にはインフリキシマブが特殊型ベーチェット病に対しても保険で認可されました.しかしながら,ベーチェット病の様々な局面において解決すべき重要な問題はまだまだたくさん残っています.本書の中では,ベーチェット病に関するいくつかの重要なテーマについて,特にこの20年間の進歩を踏まえて,それぞれの分野に造詣の深い専門家に執筆していただいています.
 本書を刊行するにあたって,多忙にもかかわらず素晴らしい内容を執筆していただいた著者の皆様に厚く御礼を申し上げたいと思います.さらに,これまでご指導とご鞭撻をいただきました橋本喬史先生・稲葉午朗先生・竹内明輝先生,ならびにご協力いただきました多くの患者の皆様に深謝申し上げます.
 また,本書の刊行にあたっては,日本の専門家と韓国の専門家の協力関係が大きな力になったことを忘れてはいけないと思います.本書の刊行が日韓両国のベーチェット病研究の未来に向けてのコラボレーションの良い端緒となることを心から願ってやみません.
 最後に,本書の日本語版の出版をお引き受けいただいた文光堂に心から感謝申し上げます.

2016年2月吉日
廣畑俊成
1章  オーバービュー
2章  ベーチェット病の遺伝学
3章  免疫学的異常
4章  ベーチェット病と自然免疫
5章  ベーチェット病の病理学的特徴
6章  粘膜皮膚病変
7章  眼症状
8章  関節病変
9章  消化管病変
10章 神経ベーチェット病
11章 血管病変
12章 予後と治療
索引