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皮膚科医が知っておくべき,一歩進んだ頻用薬の使いかた!

皮膚科頻用薬のコツと落とし穴(電子版のみ)

カバー写真
  • 編集:宮地良樹(滋賀県立成人病センター病院長・京都大学名誉教授)
  • A5判・336頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-3463-5
  • 2016年2月2日発行
定価 5,500 円 (本体 5,000円 + 税10%)
なし
在庫
電子版販売サイト

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内容

序文

主要目次

皮膚科領域において頻用される「外用薬」,「内服薬」,「注射薬」について,外用薬と内服薬のすみわけ,薬剤選択の考え方,副作用,併用療法のリスク,薬の止め時,先発医薬品とジェネリック医薬品の効果の差など,治療上の「コツ」と「落とし穴」を専門家が解説.また,トピックスとして,最新の話題にも触れている.若手からベテランまでの全ての皮膚科医に役立つ実践的な内容の1冊となった.
☆カラー写真54点,モノクロ写真72点,図版40点,表組36点
序 文

 皮膚科診療では外用薬,内服薬,注射薬など多彩な薬剤が頻用薬となっている.特に皮膚科医のお家芸である外用薬は,その選択や外用方法などに病態の理解と経験に基づく特有のコツがあり,同じ外用薬を処方してもそのスキルによって効果に大きな差が出ることもまれではない.一方,私たちが日常何気なく処方している皮膚科頻用薬にも思いがけないピットフォールが潜んでいることもしばしば経験する.そんな皮膚科診療をめぐるちょっとしたヒントをほぼすべての皮膚科頻用薬についてその領域のエキスパートの先生方にご無理をお願いしてご執筆いただいたのが本書である.通常の教科書と異なり,実践的な筆致で,Essenceやコツ・落とし穴を短い文章の中に凝縮して散りばめなければならないので,原稿の長さ以上に執筆に苦渋されたのではないかと編集者として内心密かに心苦しいが,逆に読者には臨床に役立つメッセージ「てんこ盛り」となったのではないかと自負している.外用薬の混合や併用をめぐっては,図らずも執筆者間でディベートが沸騰したが,読者にはこの論点を熟読検証のうえ,外用療法を真摯に考える絶好の機会となることを切に願う.
実は,本書のアイディアは私が内科領域で文光堂から刊行してきた薬剤シリーズの第三弾「頻用薬の落とし穴〜何気ない処方に潜む罠」(2015年刊行)の校正刷りを読み進むうちに思いついたものである.皮膚科領域は狭いのでとても一冊の本にはならないと思っていたが,狭い領域であるが故に一歩踏み込んだ玄人向けの記載ができるのではないかと考えて編集企画した次第である.内科領域では「頻用薬の選び方・使い方」(2008年),「基本薬の選び方と使い方のコツ」(2013年)と併せて三部作となったが,皮膚科領域はこの一冊にそのすべてを凝集したともいえよう.私も本書の校正刷りを通読して,皮膚科診療を見渡せる新しい高台に登った気がした(そもそも私の編集手法は,自分の知りたいことを多様な切り口で企画して専門家に執筆を依頼し,その校正刷りを読むことで一気に疑問氷解形式に全領域を手際よく学習する,というもので,校正刷りを読了した段階で私の所期の目的は達成されている).日常診療に忙殺されている実地医家の先生方に,このきわめてコンパクトな実用書で同様の達成感を味わっていただき,明日からの皮膚科診療のステップアップに是非活用していただければ幸甚である.

平成28年初冬 近江富士を望む病院長室にて

 滋賀県立成人病センター病院長・京都大学名誉教授
 宮地良樹
I.外用薬
1.外用薬一般
 基剤・剤形によりどこまで効果に差が出るのか?
 ジェネリックの効果に懸念はあるのか?
 外用薬混合は禁忌それとも推奨?
 外用薬併用の場合,塗る順番はあるのか?
 あなたの患者さんは外用薬を塗っていない?
 市販OTCとの差別化は?
2.ステロイド外用薬
 希釈しても臨床効果はあまり変わらない?
 少量の外用でもステロイド酒さになる素因の人がいる?
 配合抗菌薬はかぶれのもと?
 弱いステロイドは慢性化のもと?
 痒みには直接効かない?
3.抗菌外用薬
 外用による耐性菌,菌交代,接触感作のリスク
 MRSAの際の抗菌外用薬選択法は?
 とびひは外用で治せるのか?
 現在の抗菌外用薬は効くのか?
4.免疫調整薬
 タクロリムスで酒さ様皮膚炎が生じる?
 タクロリムスによる発がんのリスクは?
 痒みに直接奏効するのか?
 プロアクティブ療法は有用なのか?
5.外用抗真菌薬
 浸軟した病変に外用するとかぶれやすい?
 いつ,どのように,どれだけ塗ればいいの?
 結局基剤はどれがいい?
 クレナフィンはどういう爪白癬なら奏効する?塗り方は?
 MICの低い抗真菌薬はどれ?
6.保湿薬
 痒疹にも奏効する?
 尿素とヘパリン様物資の効用の差は
 エモリエントとモイスチャライザーには効果に差がある?
 いつ塗る?どう塗る?
 乾皮症の痒みに有用か?
7.ビタミンD3外用薬
 掌蹠膿疱症にも有効か?
 併用療法のリスクと効用は?
 知らぬ間に高カルシウム血症?
 足底疣贅に効く?
 尋常性白斑に効く?
 ステロイド・ビタミンD3配合外用薬の使い方は?
8.イミキモド
 日光角化症フィールド療法の適応は?
 どんな皮膚がんにどこまで効く?
 尖圭コンジローマ:副作用回避・コンプライアンス向上の方策は?
 乾癬や膠原病のリスクは?
9.抗ヘルペス薬
 内服薬とのすみわけは?
 アシクロビルとビダラビンに差はあるのか?
 発症何日目までなら効果があるのか?予防効果は?
10.抗にきび薬
 新しい過酸化ベンゾイル製剤の適応は?
 アダパレンはなぜ普及しないのか?
 再発予防のための外用療法は?
 ステロイドざ瘡に有用な外用薬は?
11.創傷治療薬
 数ある外用薬からどれを選ぶのか?
 抗菌外用薬投与の適応は?全身投与とのすみわけは?
 ドレッシング材とのすみわけは?
12.その他
 スミスリンローションはどこまで効くのか?
 どういう症例がミノキシジルの適応なのか?
 グラッシュビスタはどこまで効くのか?
 掌蹠多汗症に塩化アルミニウムはどこまで効くのか?
II.内服薬
1.ステロイド
 骨粗鬆症のリスク回避のために
 処方前に留意すること(肝炎,糖尿病,消化性潰瘍など)
 強皮症に適応はあるのか?
 膠原病におけるステロイド投与のコツ
 自己免疫性水疱症でステロイド内服に踏み切るタイミングは?
 薬疹でステロイド内服に踏み切るタイミングは?
 蕁麻疹でステロイド投与の適応はあるのか?
2.抗ヒスタミン薬
 インペアードパフォーマンス
 増量療法は効くのか?
 いつまで内服する?止め時は?
 処方変更する際のヒントは?
 PK/PDを生かした選択法は?
 インバースアゴニストとは?
 抗ヒスタミン薬が奏効しない蕁麻疹をどう考える?
3.抗菌薬
 どういう場合が抗菌薬内服の適応か?
 MRSAに遭遇したときの使用法は?
 光線過敏症に留意すべき抗菌薬
 いつ使う? どう使う? 抗菌薬の抗炎症薬としての使用法
4.免疫抑制薬
 シクロスポリン:高血圧・腎障害の副作用を回避するには?
 シクロスポリン:どうしたら止められる?
5.抗真菌薬
 テルビナフィンとイトラコナゾール:どちらを選択する?
 後発品は先発品と同じか?
6.抗ウイルス薬
 性器ヘルペスの再発抑制療法は有効か?
 帯状疱疹ワクチンの有用性は?
 抗ヘルペス薬による脳症は意外に多い?
 帯状疱疹後神経痛の予防効果はあるのか?
7.その他
 ナルフラフィン使用法のコツは?
 フィナステリドは男性型脱毛にどこまで奏効?
 イベルメクチンが奏効するために知るべきこと
 皮膚疾患にエビデンスのある漢方薬は?
III.注射薬
1.生物学的製剤
 乾癬において使用に踏み切る適応は?
 パラドックス反応とは?
 中和抗体の出現で効かなくなる?
 生物学的製剤の使い分けは?
2.ステロイド
 どのような円形脱毛症がステロイドパルス療法の適応か?
 円形脱毛症:ケナコルト局注の適応とコツ
 点滴もれにステロイド局注は有効か?
3.IVIG
 天疱瘡で使用に踏み切る基準は?
 天疱瘡に奏効したという判断基準は?
4.その他
 いざというときエピペンを正しく使うには?
IV.その他のトピック
1.公 知申請中のメトトレキサートはどこまで乾癬に効く?
2.メトロニダゾール外用薬はがん悪臭のみが適応?
3.ヒドロキシクロロキンをどう使う?
4.ロドデノールに学ぶ美白剤の落とし穴
5.サリチル酸マクロゴールピーリングの現時点での適応は?
索 引