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これだけは押さえておきたい!初期研修医のための心エコー診断のポイント!!

研修医のための臨床心エコー

診断へ導く撮り方・読み方

  • 著:田邊一明(島根大学医学部内科学第四教授)
  • A5判・152頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-1929-8
  • 2016年2月12日発行
定価 3,850 円 (本体 3,500円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

短い研修期間では,多種多様な循環器領域の画像診断の中で各々の検査法を勉強する時間は限られている.心エコーは循環器診療の中でも,ベッドサイドや救急でも活躍する重要な検査法である.本書は初期研修医を対象として診療現場に出ても困らない程度に心エコーを使いこなすことを目的とし,ポイントを絞った解説を目指した.診断へ導く心エコーの使い方・考え方が身につき,循環器診療の臨床能力を高める1冊となっている.
☆図152点,表22点
はじめに

 本書は初期研修医や新専門医制度での内科専攻医,循環器の勉強を始めた方を対象とした心エコーの入門書です.携帯できて,ベッドサイドや救急外来で心エコーを記録するときに,あるいは検査レポートを解読するときに“指導医”となってくれるような本を目指しました.
 心エコーは検者により画像の質が異なり,診断能も大幅に変わります.そこに心エコーの難しさがあります.「美しい画像から考える」,そこが一番重要なポイントだと思います.しかし,最初は美しい画像を出すことに苦心するはずです.わが国では心エコー技量の明確な到達度を示す基準はありませんが,アメリカ心エコー図学会(ASE)では,成人の経胸壁心エコーを評価するうえで,レベル1〜3の到達度があり,参考になると思います.ASEの到達度ではレベル1が最初の3ヵ月で75例,レベル2が次の3ヵ月で75例(計150例),レベル3が次の6ヵ月で150例の検査,結果の解釈を行うことが要求されています.1年間で合計300例です.これを指導医のもとできちんと行うことが一人前の条件です.遠いと思うかもしれませんが,その先に経食道心エコー,負荷エコー,術中エコーがあります.心エコーに課せられた役割は年々多くなり,装置の進歩,新しい機能や指標が登場し,勉強することが増えていきます.最初から学ぶ量は膨大です.Mayo Clinic留学時代の師であるJames B.Seward先生から「心エコーの進歩についていけるようにすべて勉強しなさい」と激励していただきました.みなさんにもSeward先生の言葉をそのまま贈ります.心エコー上達のためにはベッドサイドや検査室で経験を積んでいくしかありません.正しい断面を覚え,記録しながら考えるという作業を繰り返すことが必要です.先輩医師や技師さんの後ろについて見て,そして同じ画像が描出できるように努力して下さい.機会があれば講習会や学会にも積極的に参加し,スタンダードな考え方を自分の経験に加味していって下さい.やがては自分の心エコー診断がその後の治療や経過にどう影響したかという経験も診断能を上げるためには必要です.心エコーは臨床そのものです.本書が未来を担うみなさんの通過点の支えになれば幸いです.
平成28年1月
田邊一明
はじめに
1 心エコー検査の実際
2 基本断面の描出
 1)胸骨左縁からのアプローチ
 2)心尖部からのアプローチ
 3)その他のアプローチ
3 心・大血管の計測
 1)左心系の計測
  a.左室径
  b.左室壁厚
  c.左室容積・駆出率
  d. 左室駆出率ejection fraction(EF)
  e.左室心筋重量
  f.左房径・左房容積
 2)大動脈基部・上行大動脈径
 3)右心系の計測
  a.右室径
  b.右室面積・面積変化率
  c.右室壁厚
  d.右房径
  e.下大静脈
4 左室壁運動のみかた
5 ドプラ法・圧の推定とストレイン法
  a.ドプラ法とは
  b.パルスドプラ法
  c.連続波ドプラ法
  d.ベルヌーイ定理
  e.カラードプラ法
  f.組織ドプラ法
  g.ストレイン法
6 血行動態・心機能評価法
 1)血行動態の評価
  a.弁圧較差
  b.心拍出量
  c.連続の式
 2)弁逆流の定量評価
  a.volumetric法
  b.PISA法
 3)左室収縮機能評価
  a.一回拍出量
  b.心拍出量に影響を及ぼす因子
  c.左室駆出率
  d.左室内径短縮率
  e.左室長軸方向ストレイン
  f.myocardial performance index
 4)左室拡張機能評価
  a. Mモード法・断層心エコー法による拡張機能評価
  b.左室流入血流速波形
  c.肺静脈血流速波形
  d. 組織ドプラ法による左室拡張機能評価
 5)右室機能評価
  a.三尖弁輪収縮期移動距離
  b.右室面積変化率
  c.三尖弁輪収縮期運動速度
  d.myocardial performance index
  e.右室自由壁ストレイン
7 拡大心をみたら
  a.拡張型心筋症
  b. 拡張型心筋症と臨床的に類似した心筋症
8 肥大心をみたら
  a.肥大型心筋症
  b. 高齢者にみられる心室中隔基部の肥厚・突出(S字状中隔)
  c.心アミロイドーシス
  d.拘束型心筋症
  e.心Fabry病
9 症状・病態から必要となる心エコー
 1)呼吸困難
 2)胸痛
  a.急性冠症候群
  b.心筋梗塞の合併症
  c.虚血以外の胸痛
 3)ショック
 4)心膜液貯留・心タンポナーデ
  a.心膜液貯留
  b.心タンポナーデ
 5)収縮性心膜炎
 6)肺高血圧
 7)心雑音
 8)弁膜症
  a.大動脈弁狭窄症
  b.大動脈弁閉鎖不全症
  c.僧帽弁狭窄症
  d.僧帽弁閉鎖不全症
  e.三尖弁閉鎖不全症
 9)人工弁の評価
  a.人工弁狭窄
  b.人工弁逆流
  c.人工弁感染
 10)感染性心内膜炎
 11)高血圧
 12)慢性腎臓病・透析
 13)心室性不整脈
  a.心室期外収縮
  b.心室頻拍・心室細動
 14)心房細動
  a. 心房細動時の左室収縮機能評価
  b. 心房細動時の左室拡張機能評価
  c.左房内血栓の評価
 15)心原性塞栓
 16)心臓腫瘍
  a.粘液腫
  b.乳頭状線維弾性腫
  c.脂肪腫
  d.心臓原発の悪性腫瘍
  e.転移性心臓腫瘍
 17)先天性心疾患
  a.先天性心疾患の区分診断
  b.心房中隔欠損症
  c.心室中隔欠損症
  d.動脈管開存症
  e.Eisenmenger症候群
10 経食道心エコー法
あとがき
索引