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乳腺腫瘍病理の診断に必須の形態学的特徴と鑑別診断を押さえた座右の書!

腫瘍病理鑑別診断アトラス

乳癌第3版

カバー写真
  • 編集:森谷卓也(川崎医科大学教授)
  • 編集 津田 均(防衛医科大学校教授)
  • 監修:腫瘍病理鑑別診断アトラス刊行委員会
  • 編集協力:日本病理学会
  • B5変型判・288頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2262-5
  • 2022年11月8日発行
定価 17,600 円 (本体 16,000円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

腫瘍病理鑑別診断シリーズ「乳癌」,待望の第3版.2019年にはWHO分類第5版が発行され,遺伝子検査やPD-L1評価が行われるようになり,さらに分子標的治療が導入されるなど,乳腺腫瘍病理を取り巻く環境は日々変化している.そうした状況を踏まえ,乳腺腫瘍病理のエキスパートが精選した病理写真とともに,定義や概念,診断上の要点を解説する.組織の形態学的特徴とともに,免疫組織化学の適切な利用法や,臨床との連携に欠かせない広がり診断および治療効果判定,病理診断報告様式について解説した.
第3版の序
 乳腺病理を取り巻く環境の変化を受けて「腫瘍病理鑑別診断アトラス 乳癌」の第2版改訂版が刊行されたのは2016 年である.しかしその環境は,この5年間でさらに大きく変化した.その一つに2019年のWHO乳腺腫瘍分類 改訂第5版の出版がある.この第5版分類では,WHO乳腺腫瘍分類 第4版(2012年)の内容を継承しつつ疾患の配列をより系統的にし,組織型にも一部変更が加えられた.最新の乳癌取扱い規約 第18版(2018年)の組織分類では,WHO分類との対応,互換性を重視し,徐々にWHO分類に近づけようとする傾向が見受けられ,両者の互換性についても配慮し記載された.また,新たにICCR(International Collaboration on Cancer Reporting)による病理診断の報告様式も提唱された.
 二つめは,分子標的治療適応決定のための分子診断やコンパニオン診断がますます重要性を増してきたことが挙げられる.すでに広く用いられていたホルモン受容体,HER2検査に加え,Ki67などの測定依頼件数も増加した.新規分子標的薬剤が導入され,コンパニオン診断として遺伝子変異検査や癌組織におけるPD-L1評価も行われている.三つめは,固定,切出し法などの病理標本の取扱いから病理診断報告書記載に至るまでの標準化の流れである.個々の腫瘍を共通の基準下で正確に記載し,施設間での治療成績比較を意味あるものにする,という乳癌取扱い規約発刊の原点でもある.将来の分子・遺伝子検査のために良質の病理試料(ホルマリン固定パラフィン包埋組織ブロック)を作製,保管することも病理部門の重要な役割となった.
 以上のような時代の流れに鑑み,このたび,本書第3版を刊行することとなった.第2版の章立てを踏襲した4部構成からなっている.第1部「検鏡前の確認事項」では,病理標本の取扱い方について詳しく記載した.第2部「組織型と診断の実際」は,構成を第2版から大幅に変更し,WHO分類 第5版に合わせた項目立てと記載内容とした.ただし,わが国独自で親しまれている分類については,WHO分類との整合性を考慮した上で維持した.第3部「鑑別ポイント」では,免疫組織化学の適切な利用法など,現状における最適な鑑別診断方法の実際について記載した.第4部「臨床との連携」では,遺伝性乳癌,悪性度評価,バイオマーカー検索,病理診断の臨床的取扱い,術中・術後の広がり診断,病理学的治療効果判定と,病理診断報告様式について解説を行った.
 執筆は,現在,乳腺の病理診断に積極的に取り組んでおられる方々にお願いした.本書が日常診断における必須のアトラスとして,これまで以上に多くの方々に利用していただけることを切に願っている.

 令和4年10月
 森谷 卓也
 津田  均


 この「腫瘍病理鑑別診断アトラスシリーズ」は日本病理学会の編集協力のもと,刊行委員会を設置し,本シリーズが日本の病理学の標準的なガイドラインとなるよう,各巻ごとの編集者選定をはじめ取りまとめを行っています.

 腫瘍病理鑑別診断アトラス刊行委員会
 小田義直,坂元亨宇,都築豊徳,深山正久,松野吉宏,森谷卓也
第1部 検鏡前の確認事項
 Ⅰ.乳腺腫瘍の組織型分類:乳癌取扱い規約 第18版(2018年)とWHO分類 第5版(2019年)の概要
 Ⅱ.病理検体の取扱い方

第2部 組織型と診断の実際
 Ⅰ.上皮性腫瘍
  1.良性上皮増殖性病変および境界病変
  2.腺症およびその関連病変
  3.腺腫
  4.上皮・筋上皮性腫瘍
  5.乳頭状腫瘍
  6.小葉性腫瘍
  7.非浸潤性乳管癌
  8.浸潤性乳管癌
  9.微小浸潤癌
  10.特殊型乳癌
  (1)浸潤性小葉癌
  (2)管状癌
  (3)篩状癌
  (4)粘液癌
  (5)浸潤性微小乳頭癌
  (6)アポクリン癌
  (7)化生癌
  (8)神経内分泌腫瘍
  (9)腺様囊胞癌および他の唾液腺型乳癌
  (10)分泌癌
  (11)その他のまれな乳癌
 Ⅱ.線維上皮性腫瘍(結合織性および上皮性混合腫瘍)
  1.線維腺腫
  2.葉状腫瘍
 Ⅲ.乳頭部の腫瘍
 Ⅳ.間葉系腫瘍
 Ⅴ.血液・リンパ球系腫瘍
 Ⅵ.男性乳腺疾患
 Ⅶ.その他の腫瘍様病変
 Ⅷ.転移性乳腺腫瘍

第3部 鑑別ポイント
 Ⅰ.上皮性病変における良悪性鑑別のための要点
 Ⅱ.針生検における組織型鑑別の注意点
 Ⅲ.組織型鑑別のための免疫組織化学的検索の要点

第4部 臨床との連携
 Ⅰ.遺伝性乳癌の臨床病理
 Ⅱ.乳癌の悪性度評価
 Ⅲ.乳癌のバイオマーカー検索
 Ⅳ.病理診断をふまえた乳癌の治療
 Ⅴ.術中・術後の乳癌の広がり診断
 Ⅵ.病理学的治療効果判定
 Ⅶ.手術標本における病理診断報告書の記載法

索引