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日常診療で遭遇しうる病態を網羅.豊富な写真で,非腫瘍性内分泌病変の捉え方がわかる!

非腫瘍性疾患病理アトラス

内分泌臓器

カバー写真
  • 編集:亀山香織(昭和大学横浜市北部病院客員教授)
  • 編集 中村保宏(東北医科薬科大学教授)
  • B5変型判・188頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-0490-4
  • 2023年4月11日発行
定価 13,200 円 (本体 12,000円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

多くの病理医にとって非腫瘍性内分泌病変は遭遇する機会が少ないことを踏まえ,本書は,実践経験の少ない病理医を主対象とした.総論として各臓器の発生と正常構造,各論は下垂体,甲状腺,副甲状腺,副腎に分け,日常診療で遭遇しうる病態を網羅し,それらの形態学的変化を解説した.非腫瘍性内分泌病変の肉眼および組織形態を知ることができ,目の前の病変が果たして腫瘍か否か,腫瘍でないならどのような病態なのかを考えるうえでの一助となる.


 ここにわが国の成書としては初めての内容となる「非腫瘍性疾患病理アトラス 内分泌臓器」をお送りする.内分泌臓器では腫瘍性病変だけではなく非腫瘍性病変でも各産生ホルモンの多寡,あるいは占拠性病変の周囲臓器への圧排などにより多様な症状が引き起こされる.しかし,実際に切除される病変はその大部分が腫瘍性病変であり,病理医が非腫瘍性病変に遭遇する頻度は低い.また,他臓器と異なり内分泌臓器では真の腫瘍と過形成との鑑別が難しい例も多く,そもそも腫瘍としていいのかといった点にさえ苦慮する例が少なくない.本邦では下垂体や甲状腺,副甲状腺,副腎の手術を数多く行う施設は限られているといった事情があり,一般病理医が非腫瘍性病変の検体に遭遇する機会が少ないため,実際にそうした状況に直面した際に判断に迷うことが多いと予想される.
 本書は比較的実践経験の少ない病理医を対象とし,切除された検体,あるいは剖検例で遭遇した病変が果たして腫瘍か否か,腫瘍でないならどのような病態なのかを考えるうえでのリファレンスとして活用いただくアトラスにしたいと考え企画した.日常診療で経験する可能性のある病変は網羅したと自負している.それらの肉眼および組織形態を熟知することで,正しい診断に到達する足掛かりとなることが望まれる.
 執筆者には,日本病理学会をはじめその他関連学会で内分泌病理に造詣の深い方,および内分泌臨床の第一線で活躍されている方に解説をお願いした.とりわけ甲状腺においては甲状腺診療に特化した個人病院で数多くの手術が行われているため,そうした病院で日々病理診断に従事している方に貴重なご経験を公開していただいた.
 初めに総論として各臓器の発生と正常構造,種々のホルモンの産生機構を示した.解剖学や生理学の知識のアップデートとして役立ててもらいたい.次に各論として発生異常,循環障害,炎症,過形成性病変,囊胞性疾患といった様々な病態の形態学的変化を解説いただいた.定義・概念,次にホルモンのデータを含めた臨床所見,病理所見,鑑別診断といった流れとなっている.

 本書の編集作業が終盤に差し掛かったころ,AFIP の内分泌非腫瘍性疾患改定版が刊行された.AFIPは通読するには不向きな書物である.読者諸氏にはまずは本書をざっと目を通していただき非腫瘍性内分泌病変の概略を知ったうえで,AFIP は鑑別診断などの知識の積み上げに参照する,といった相補的な活用をお勧めしたい.
 この本が皆さんの日々の診断に役立てられることを願っている.

2023年3月
亀山香織,中村保宏
総論
 Ⅰ.下垂体
  1.正常構造と発生
 〔COLUMN〕ヒト多能性幹細胞から下垂体を「つくる」
  2.ホルモン産生機構
 Ⅱ.甲状腺
  1.発生と正常構造
  2.ホルモン産生機構
 Ⅲ.副甲状腺
  1.正常構造と発生
  2.ホルモン産生機構
 Ⅳ.副腎
  1.正常構造と発生
  2.ホルモン産生機構

各論1 下垂体
  1.発生異常
  2.循環障害
  3.炎症
  4.囊胞性病変

各論2 甲状腺
  1.発生異常
  2.急性化膿性甲状腺炎(下咽頭梨状窩瘻)
  3.黒色甲状腺(ブラックサイロイド)
  4.亜急性甲状腺炎
  5.橋本病(慢性甲状腺炎)
  6.Riedel甲状腺炎
  7.Basedow病
  8.腺腫様甲状腺腫
  9.寄生結節
  10.先天性ホルモン合成障害
  11.リンパ上皮囊胞
 〔COLUMN〕IgG4甲状腺炎とIgG4関連甲状腺炎

各論3 副甲状腺
  1.発生異常
  2.パラサイロマトーシス
  3.副甲状腺囊胞
  4.副甲状腺過形成

各論4 副腎
 Ⅰ.発生異常,加齢による変化
  1.副副腎
  2.加齢による変化
 〔COLUMN〕Adrenohepatic fusion
 Ⅱ.代謝性疾患
  1.代謝性疾患
 Ⅲ.炎症性疾患,感染症
  1.結核
  2.クリプトコッカス感染症
  3.サイトメガロウイルス感染症
  4.COVID-19
  5.自己免疫性副腎炎
 Ⅳ.過形成
  1.皮質過形成
  2.副腎髄質過形成
 Ⅴ.囊胞性病変
  1.副腎囊胞

索 引